手元に何枚かの古い写真がある。
裏に万年筆で撮影メモが記入されている唯一の一枚。
【月齢16.2】
・撮影日:1971年11月14日21h32m
・使用機材:9cm(f840mm)反射赤道儀(鏡筒:エイコー、架台:ダウエル)H8mm(105倍)
・カメラ:ヤシカelectro 35 45mm F/6 三脚固定のコリメート法で撮影
・露出:Autoにセット
・フィルム:トライX
・DPE店にて現像、焼き付け
中学1年生の秋の写真である。この当時はエイコー社の9cm反射経緯台をダウエル社の赤道儀に乗せ換えて使用していた。
カメラは父親の二眼レフを借りて撮影していたが、調べてみると光量計測部はファインダー横にあり、露出のAutoの意味が分からない。記述ミスか、たまたまAutoでとれたものか。
当時は取り終わったフィルムを近所のDPE店に預け、受け取りを楽しみに待っていたものだ。その場で写真を確認すると大量のピンボケ写真で歩留まり1割以下が常だった。そんな繰り返しの結果、写真屋の主人があらかじめダメなネガは焼き付けせずに節約に協力してくれるようになった。
今は即時に写真の良し悪しの判断ができ、このことだけとっても便利になった。上の写真は結果的にピンボケ、あるいはブレもありそうだが、二眼レフでの撮影の際は、接眼レンズを更にファインダーで覗きながらピント合わせをしたものだ。一眼レフさえあればこの手間が省けるのに、と思っていたが、父親には既に望遠鏡がらみのお願いを沢山していたため、カメラの優先順位は下げざるを得なかった。
フィルムは普段のネオパンSSSから奮発してトライXを使用したようだが、むしろ露出オーバーの結果となった。表題部の写真は木星で、おそらく鏡筒部を覆って手動シャッターによるものではないかと思う。よーく見ると中央部に薄いベルトが一本見えて当時大喜びしたものだ。
中学の2~3年生頃だったか、ミザールH100を所有していた友人が、夏休み中に旭光学のDurstを購入し、写真の現像・引き伸ばし処理を手掛け始めた。
DPE店による処理に限界を感じていた私も、すぐに後を追うように現像・引き伸ばしセットを取りそろえた。現像タンクは自動巻き、引き伸ばし器はLucky 90M(?)で浴室、押入れを随時占領するようになった。
星野写真はトライX を前露光処理したり、パンドールで増感現像。引き延ばしではコンポジットや覆い焼などかなりの処理が可能となったが、撮影終了後、画像チェックのため、直ぐに夜中の現像処理にあたり、従来以上に天文関連に時間を費やすこととなった。
下の写真の詳しいデータはないが、撮影時期は1975~76年の高校生時代のもの。中学生の頃の月面写真と比べ、かなり腕を上げたと言って良いのではないだろうか。 自作の15cm反射経緯台で、ペンタックスSPによるコリメート撮影。接眼部から鏡筒に大きく木枠を被せた自作の雲台を使用したものだ。現像・焼き付けまで行った写真である。