花のある生活

花はあまり出てきませんが。

妖怪は、いる? いない?

2015-06-23 | 美術館・博物館
今、高志の国文学館で、ギャラリー展「妖怪がひそむ 富山の民話」(7月6日まで)が開催中。

富山出身の漫画家、今市子「百鬼夜行抄」の漫画原稿が展示されていたり、富山に伝わる昔話を紹介するパネル展示では、タブレット端末をかざして、動画が見れるものがあったり、と多彩。

外庭では、4つの妖怪がひそんでいるのを探す、という趣向の楽しみも。


そこで、小松和彦氏の「民話のなかの妖怪たち」という講演会を聞いてきた。

ここ富山県では地域で語られる伝承が、他県に比べて、少ないのだそうだ。

資料でまとめられているものも、あまり数はないらしい。

富山の伝説では、姉倉比売(あねくらひめ)神社の社殿・立山権現(立山開山)の由来・鎌ヶ池伝説が、あるそうです。


ところで、伝説や昔話・民話の違いは何だと思いますか?

伝説 ―― その土地由来の伝承。

昔話 ―― どこの土地でも通じるような抽象的な話。

民話 ―― メッセージ性が強く打ち出される。

世間話 ―― 都市伝説のようなもの。


だから昔話では、各地で似たような話がたくさんあったりするんだね。


昔話に出てくる妖怪を分類すると、

動物系 ―― 大蛇・狐・狸(ムジナ)・蜘蛛

擬人系 ―― 天狗・鬼・山姥・河童

人 ―― 幽霊・怨霊・祟り

古道具系 ―― つくも神


たとえば、大蛇が人に化けて出てきて、出会った人と親しくなり、その地域で災害が起こることを打ち明ける、というような話が残っているのは、その地域が、がけ崩れや水害の多い土地柄だったから、だそうです。

狐は女性に化けることが多く、狸は男性に化ける。

狐は賢いが、狸はマヌケな役回り、だとか。


「手打ち半殺し」という話では、富山の薬売りが、山道を歩いていると日が暮れてしまい、泊まるところがないので困っていたら、明かりが見えたので、そこに入って「一晩泊めてくれ」と頼んだ。

その家のおばばが出てきて、「こんなところでもいいなら、泊まっていかれ」と言ったので、泊めてもらうことにした。

夕飯をごちそうになり、疲れてぐうぐう寝ていたが、ふと目が覚めると、隣の部屋から何やら話し声がする。

「じいじ、朝飯は何にする」「手打ちにするか」「いや、半殺しにしたらどうか」

これを聞いた薬売りはびっくりして、「ここにいたら殺されるかもしれん」と、そーっと家を出ようとするとき、ガタンと音がした。

そしたら、「薬売りはん、こんな時間に何じゃ、ゆっくり休んでおらっしゃい」と、じいじが戸を開けた。

そして、どうしたのか、と問うので、先ほど聞いた話をすると、じいじもおばばも腹を抱えて大笑いした。

「ここでは、そばのことを手打ちと言うて、ぼたもちのことを半殺しと、言うがや」と、朝飯の話をしておった、と言った。

それを聞いた薬売りも、一緒に大笑いしたそうな。



ここでは、笑い話だが、実際、旅人が殺されることが多かったこともあるから、なのだそうだ。


・・・うちでも、ご飯つぶすとき、「半殺し」とか言うなあ。

こちらでは、普通に会話しているだけだが、はたから聞いていると、なにやら物騒なこと言ってるように聞こえるわね~。


館内をぐるりと周って、外庭の妖怪探しをしたが、4つのうち3つしか見つからなかったわー、残念。


でも、楽しい時間を過ごせてよかったわね。




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