花のある生活

花はあまり出てきませんが。

ゲシュタルトの祈り  フレデリック・パールズ

2024-09-19 | ゲシュタルト療法
ゲシュタルトの祈り  

私は私のために生きる  あなたは、あなたのために生きる

私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない

そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない

私は私  あなたは、あなた

でも偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ

たとえ出会わなくても、それもまた素晴らしいことだ




「ゲシュタルト療法」を創設したフレデリック・パールズは、ゲシュタルト療法の思想を盛り込んだこの詩を、ワークショップで読み上げることを好んだ。


1935年、パールズは妻のローラと精神分析研究所を設立するが、国際精神分析学会でフロイトから冷たくあしらわれ、発表自体も歓迎されなかったため、精神分析から決別。

1942年には精神分析から決別を著した本を出版、この中で自分の考え方を「Cocentration Therapy(集中療法)」と名付け、ここから「ゲシュタルト療法」が生まれた。

1952年、パールズは妻ローラとともに「ニューヨーク・ゲシュタルト療法研究所」を設立、それ以降「ゲシュタルト療法」という名称を用いることとした。

1962年、パールズは世界旅行で途中来日し、東京と京都に訪れる。
特に京都が気に入ったようで、大徳寺に2ヶ月滞在し、座禅を行う。



「ゲシュタルト」というのは、ドイツ語で「形 全体 統合」の意味を表す。

1900年代の始めに、ヴェルトハイマー、ケーラー、コフカらが提唱した「ゲシュタルト心理学」は、一つ一つの部分をつなぎ合わせて物事を知覚するのではなく、全体を「一つのまとまり」として知覚する、というもの。

たとえば「山全体の景色」を見るときには、山の木々の葉っぱの一枚、一枚に注目するのではなく「山全体から空までの周りの風景全体を合わせて見る」というように。


パールズは「ゲシュタルト心理学」の考え方を応用して、「心の問題を抱える個人(クライエント)」が自分の中にある、さまざまな気持ちに「気付く」ことを手助けする「ゲシュタルト療法」を創始しました。


ゲシュタルト療法では「今・ここ(Here and Now)」を重視しています。

パールズは「幼児期の未解決の問題が無意識に心の問題を引き起こしている」と考えましたが、問題は「過去」にあるわけではなく「今・現在の心の中の問題である」と考えました。

すでに過ぎ去った過去は変えられないし、心の中のトラウマは「今・ここ」にあるので、「今・ここから」変えていけることが出来るはず、というもの。

ゲシュタルト療法では、クライエントは未完結になっている問題や悩みを再体験することを通して「自分の心にあいた穴が何であるか(ゲシュタルトが欠けている)」に気付き、それを埋めること(ゲシュタルトの完成)を目指します。



ゲシュタルト療法では、主に10名ほどのグループワークで行われますが、ファシリテーターと特定の参加者が「1:1」でワークを行い、その他の参加者は車座になって、そのワークを見守り、必要に応じてワークに参加します。

ホットシート(エンプティチェア)の場合、クライエントの座ったイスの前に、空のイス(エンプティチェア)を置き、悩みの対象の人物・事柄(自分の別人格を想定するときもある)などをイメージしながら、その対象に向かって自分の言いたいことを話す。

最初は、その対象に怒りや不満をぶつけたりして感情をあらわにしますが、話しているうちに「自分のしたかったこと」や「相手に認めてもらいたかった気持ち」などに気が付いたりして、「自分の抱えている問題の背景」に気付くことが出来ます。

自分の心の問題の背景をハッキリと認識することが出来れば、問題の解決に向けた行動をとることも可能だと言います。


他にも「ボディワーク」「ファンタジートリップ」「ドリームワーク」「実験」などがあります。



次の詩はパールズの弟子、ウォルター・タブスがパールズの死後、発表したものだそうです。


パールズを超えて

私は私のことをする  あなたはあなたのことをする

もしそれだけならば、お互いの絆も、私たち自身も失うことになる

私がこの世に存在するのは、あなたの期待に応えるためではない

しかし、私がこの世に存在するのは、あなたが、かけがえのない存在であることを認めるためであり、

そして、私も、あなたから、かけがえのない存在だと認めてもらうためである

お互いの心がふれあったときに初めて、私たちは本当の自分になれる

私たちの心のふれあいが失われてしまえば、私たちは自分を完全に見失ってしまう

私と、あなたとの出会いは、偶然ではない

積極的に求めるから、あなたと出会い、心がふれあう

心のふれあいは、成り行きまかせではない、自分から求めていったところにある

すべての始まりは私に委ねられていて、そして、一人では完結しない

本当のことはすべて、私と、あなたとのふれあいの中にあるものだから




「ゲシュタルトの祈り」ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム

ゲシュタルトの祈り

ゲシュタルト療法

フォーカシング・ゲシュタルト療法




この記事についてブログを書く
« ロートレックとベル・エポッ... | トップ | 「パブロフの犬」と「アメと... »
最新の画像もっと見る