一年前、体調不良で心が折れてしまった夏。
ただ日常に流されまい、、と踏ん張っていたはずが、
揺るがないはずの根性は、見事なほどあっけなく崩れおちてしまった。。
今までの積み重ねは、ナンだったのだろう、、と。
入院する前日、家人が一冊の本を買ってきた。
それが「大家さんと僕」。
ページをめくると、ふわふわした線のオトナ二人。
二人は大家と店子という、ドライな関係。
チョット時代ずれしたような大家さんと中途半端な売れ方の芸人の会話は、
噛み合うはずもなく、
矢部さんの困惑ぶりと、内心のほっといて・・・感は、至って当たり前のように見えた。
それでも
流れゆく日常の中で、大家さんと矢部さんのボタンの掛け違いは、
徐々に個性的な面白さに変わり、
お互いの生活が、枯葉色の孤独を帯びた色から、
チョットづつチョットづつ
小さな出来事やプチ共感の積み重ねで、
それぞれの人生に、若葉のような色を放ち出した。
「大家さんと僕」は8年間の凝縮が綴られていたが、
この裏側に埋もれてる大家さんの意思やトラウマは、
読み手の感性が試されるように、うっすらと滲ませる程度。
この描き方に、矢部太郎という人の大家さんへの静かな優しさが見える。
そのうっすらの滲みを一歩掘り下げた本が、一年後、新たな二冊の本に。
この二冊が「大家さんと僕」を再び、今も湧き続ける深い井戸のような物語にした。
◇日常の幸せ 完結「大家さんと僕 これから」◇
大家さんと矢部さんの何気ない会話は、天然ボケと変化球の突っ込み。
だからか、起承転結は予測不能。
なんたって、大家さんが突っ込みで、矢部さんはボケなのだから。
読み手が驚くのだから、当事者の矢部さんの驚きは、えらく共感できちゃう。。
80代後半になっても、大家さんの言葉は優しいのに、鋭い。
矢部さんの何気ない言葉も、大家さんはインプットし、
ここぞというタイミングで緻密にさらりと行動する。
恩着せがましくなく、
矢部さんとのプチワンダフルな想い出の一つにしてしまう大家さん。
そこには、静かな孤独と向き合ってきた人の優しさと、とても上質な想いがある。
大家さんの持ち味は、
意外なほどの芯の強さとフランスのマダムのようにエスプリの効いた言葉。
大家さんのエスプリ感に共感出来るのは、矢部さんも同じ立ち位置で視ているからだと。
ただ一つ
矢部さんが共有出来ないのは、それは<戦争体験>。
「大家さんと僕 これから」の中には、
大家さんの戦争への恐怖と沢山の友達を失った大きな喪失感が、トラウマになっている。
8月が好き。。沢山戦争のことを放送するから、、
矢部さんが戦争に取られたら、どうしよう・・・
色んな場面で、戦争の恐怖を語ると止まらなくなる大家さん。
それでも、矢部さんはその言葉の中に真実の怖さを知り、
戦争体験者の大家さんの言葉を拾い上げ、
大家さんの太陽と隠された月の両方を俯瞰しながら描いていた。
「次は にぎやかな 一冊 がいいわ!!」とノタマッタ大家さんだが、
その想いには、十分なほど応えたんじゃないか、、と。
読み終わり、完結した「大家さんと僕 これから」の余韻に浸っていたら、
今年の6月に「大家さんと僕」と僕がこっそり出ていた・・・
◇こっそり番外編 「大家さんと僕」と僕。。◇
著名人が「大家さんと僕」に寄稿しているパートがあり、
その中で、15歳の小説家、鈴木るりかさんの書評が素敵すぎた。
14歳で作家デビューした精度の高すぎる感受性によろめいたワタシ、、
多くの人が、ほっこり。。という言葉で括りがちなのに、
彼女も大家さんと矢部さんの月の部分を見逃していなかった。
<12歳の文学賞>に2013・2014・2015年と三年連続大賞に選ばれ、
14歳に書いたデビュー作「さよなら田中さん」を是非!!読んでみたいと思う。
矢部太郎という人は、
とても弱そうで、案外弱くなく、
流されていそうで、流されていない。
だからこそ、この三冊が描けたのだと思う。
彼の心の強弱の振れは、大家さんの心の振れにとても良く似ている。
流される日常の中で、しっかりとした物語があったことに、元気づけられた本だった。
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応援ありがとうございます(*'ω'*)/∼~~
まず、アパートにケーブルTVとインターネットを引くと言ったら、
怒り狂いました。そして、この間ゴミを、曜日間違えて
出したら、また怒り狂いました。
まあ、ゴミは間違えた私が悪いのですが・・・
ケーブルTVと、インターネットを引きたいと言って
怒り狂われたのには、処置なしでした・・・
アパートの大家は怒り狂うのです。
やってられません。
最近の70代には着いて行けません
毎回、折菓子を持って行き、事なきを得ています。
blog読んで居て、つい書き込みたく成りました.....すみません
壁に穴を開けるだの
工事だのというのを嫌がる大家さんが
まだ、、いたのですね
希少生物だと思って
接触しないように
相手の領域に支配されないようにね