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ショーケンのお遍路 ①どん底の美学

2020-03-31 18:29:23 | 

◇どん底の美学◇

NHK大河「元禄繚乱」は、五代将軍綱吉のショーケンが主役ではなく、
赤穂藩士の老中:大石内蔵助の中村勘九郎。

この当時(1994年~1999年)のショーケンからは、
若気の至り、、とか無軌道な空気感は消え、
独特な静かさと、ナニカを一心に想っている重さがあったと思う。

この時に出演した「元禄繚乱」で、その正体不明な重さを思う存分に出し切ろうとした。
台詞の稽古に、相手役としてアルバイトを雇い、
一字一句違わず身体に叩き込み、現場には一時間前にスタンバイ。
大河ドラマの一年間は、日常生活も綱吉に憑依たかのようだった。
実は、
二回目の離婚は、この凄まじい役者魂が破綻原因だったと。。

かつては、
定時に現場に入るのはカッコ悪い、、
その時の流れを見て、アドリブを入れ周りまで感化され、
何が起こるか分からないのが、ショーケンの作る作品だった。

そんなショーケンが、
自分が翻弄される立場になろうとは思わなかったのが「元禄繚乱」。
翻弄した御仁が、主役の中村勘九郎だった。

歌舞伎役者は、常に舞台でのぶっつけ本番のみ。
観客の空気を読み、
その都度変幻自在に演じる技量は、人並外れてずば抜けている。

ましてや天下の歌舞伎役者に、
出て戴いてる感が強い大河ドラマでは、
毎回違うバージョンで演じる大石内蔵助に、誰もNGなど出せるはずもなく、
流石のショーケンも目が点になったと、独白本「ショーケン」に書いている。。

中村勘九郎が究極の武士道を魅せ、ショーケンは全く真逆の最悪の将軍に徹した。
その冷徹な将軍は、共演者も怖がるほどの気配だったという。

中村勘九郎は名門のサラブレッドで、芸事に真っすぐ生きてきた役者。
一方、
ショーケンは10代でトップに上り詰め、役者でも大成功。
だが、
自分がやりたい事とやってる事のギャップを埋めようとすればするほど、
周りからは天邪鬼な役者として扱われる。
長く暗いトンネルをひたすら突き進んできた人の強さが、
独特な静かさと重みになった人ではないかと思う。

この時期のショーケンの数々のドラマに、
どん底を知る人の美学を感じるのは、私だけではないと思う。

◇赤穂浪士は、不憫だ・・・◇

浅野内匠頭の東山紀之 妻阿久利の宮沢りえ

当時の江戸っ子たちの間では、
赤穂浪士による藩主の仇討は、究極の武士道だともてはやされ大喝采。
あまりの大騒ぎに、幕府は民意を忖度せざる得なかった。
獄門台の晒し首ではなく、
武士として名誉の死<切腹>という御沙汰を下したほどだった。

それは
21世紀の現在でも、年末になると「赤穂浪士」が放映される。

いつも腑に落ちない、、

浅野内匠頭の懐の浅はかさ、、は・・・
家臣とその者たちの家族を巻き込んでの悲劇が、なんでイイのだ、、

将軍綱吉の<仇討禁止>は、
無駄に命を落とす武士道を信じ切っている武士たちへ、
その浅はかさを諫めた法律だった。。のにと、
毎年「赤穂浪士」の番宣を見ると、なんだかなぁ、、と思うのである。

   つづく。。。。。
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