朝、洗面所から
左大臣の『あ””ぁぁぁぁぁ------』という嘆きが轟いた。
彼の前歯が突然折れたのだった。
この5年間、
歯医者の柱一本くらい貢献したと思われるほど、
家人の歯はガタガタの状況。
超高額のインプラント2本とブリッジなどの支払いが、
まさに終わったばかり。
我が家の家計は、
居住22年のマンションのリフォームと歯の治療費で、
家計のイテテテ感はハンパじゃなかった。
なのに、間髪入れずに前歯が・・
折れた前歯はショウガナイ!と気持ちを立て直したはずが、
歯科医の診立ては、左右4本差し歯にという強烈なボディブロー。。
結局、
入歯はヤダ!!!という左大臣の抗議に、
またもやスペシャルな差し歯を作ることに。
予期せぬ大出費・・・
小説の世界で笑い飛ばしていた物語が、
マジで我が家にも降りかかってきた。
日本国民を絶望させたお国の指標は、、
老後、年金支給+2000万円=80歳くらいまでの必要経費。
ふと思い出したのは、垣谷美雨さん「老後の資金がありません」
読めば、
ハラハラドキドキで、こりゃ大変だ~~~と、他人事だった。
ワタシの老後の見取り図には、
物も劣化するが、自分たちも劣化
=預貯金大出費の現実を掴み切れていなかった。
家もある
ローンなし
我が母は介護施設
今のところ、身体機能は低空ながらも日常生活を送れている
左大臣も超肥満だが、なぜか元気。
猫家族と楽しく暮らす日々
コレを憂うのは、どう考えてもオカシイ、、かもしれない。
が
普段から物事を斜に見ているはずの自分が、
<老後>という寂しい響きに、煩悩の万華鏡が反応してしまった。。
まるで垣谷美雨の小説の主人公のようにだ。
◇男はきっと読めない、、垣谷美雨の物語◇
垣谷美雨さんの物語に魅かれるのは、
全ての人が抱える煩悩を、小細工せずに書き上げるところ。
難しい言葉や美しい修飾語で綴らず、
<突撃隣の晩ごはん>的な描写は、
女性の視点でバッサバッサと斬りこんでいく。
嫁・姑の微妙な空気感。
嫁いだ日から感じる、血の繋がらない家族との外様感。
なのに、
一緒の墓には入らなきゃいけないという葛藤。
夫の不規則な行動に、不信感を募らせる日々やら。
この難問は着地点がなく、どこかで折り合いをつけないといけない。
ココをお見事に描いたのが、この三冊。
軋みながらも、なんとか回っている家族が、
死別・子供の独立・優しい嘘から歯車が狂いだす。
普通の家族が必死に隠したい内情に、読者の走馬灯も回りだす。
垣谷美雨の見事なスパイシーな手法で・・・
🔰「老後の資金がありません」
超高級介護施設に入居の姑、
長生きしすぎて何億もの老後資金が尽きた。
長女と嫁のすったもんだの駆け引きの末、
長男夫婦の家に姑が同居することに。
嫁と姑の微妙な空気感でお互いが息も詰まる思いだった。
が、ひょんな事から
二人は家計の苦しさを脱するため、
詐欺まがいなことでお金を手に入れる。
この事がキッカケで、
枯れ木のような姑は不思議な活力を取り戻し、
嫁姑には罪悪感より強い連帯感が生まれた。
このままデンジャラスゾーンに突入するかと思いきや、
自分たちの迷走の間違いに気づき、家族の再生に向かっていく。
このデフォルメ感が凄いけど、心に光が射す。
今こんな閉塞感を持つのは、自分たちだけではないと。
是非とも男性にも読んで欲しいかな。。
💎「夫の墓には入りません」
嫁ぐ女の宿命は、最終的に夫の家の墓に入ること。
骨だからカンケ―ないっしょ!っと思えない、
長ーーーーい確執と人間模様がある。
いい嫁は理想だが、
実は、
いい嫁=使える都合良い女とも言える。
当たり障りのない夫婦生活が、
ある日
夫の急死で、結婚当初から夫に秘密があった事を知る。
夫婦は一番近い存在だが、
秘密は一番知られたくない存在なのかもしれない。
夫の死が齎す、一人身の女への世間の漬け込み方にゾッとさせられる。
色んな他人の思惑を肌身に感じ、
いい嫁から、本音で生きたいと願う妻の心の変化。
女が強くなるのは、無理もない、、と思えるのだ。
そして
樹木葬を望む人が多くなってきてるのも、分かる気がする。
♛「夫のカノジョ」
垣谷美雨作品を色々読んだが、一番好きな物語。
使い古された設定だが、
妻と夫のカノジョと思しき二人が、魂が入れ替わる。。ヤツ。
結婚も長くなると、相手の良かった所も日常に埋もれ忘れてしまう。
そんな時、
夫の行動に不信感を抱く妻。
浮気?!
が
妻は直接対決しようとカノジョを呼び出し、
いざこざする内に、とんでもない天罰が下る。
なんと二人は、入れ替わってしまう。
妻とカノジョは、
お互いの生活や夫の仕事、苦境やその背景を知ることに、、
お互いの見た目は、淡々としてたり、突っ張ってるようでも、
見えない部分では必死に踏ん張っている。
妻もカノジョも入れ替わって色んな物事が見え始める。
二人は、初めて本気で生きようと足掻き始め、
妻は夫への曖昧な気持ちが、リスペクトに変わっていく。
小説は架空の出来事なのに、なぜか身に覚えのある事ばかり。。
垣谷美雨さんの物語に、諭された。
輪郭のない不安は、なるべく持たない方が幸せなんだと。
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