◇大山淳子「あずかりやさん」◇
読み始めると、なんとも気持ちのいい静寂が心を潤していた。
それは、
著者/大山淳子さんの名前も知らず、
友人の
「是非!!読んでみて
なぜか 心が澄んでくるから~」という言葉に導かれた本。
小説なのに、
一つ一つのエピソードが、ピリピリと沁みる不思議な感覚があった。。
エピソードの語り部は、人ではなく、
あずかりやさんの店主桐島君のお店にかかる暖簾や、
店内にあるガラスのショーケース、古いオルゴールや猫の視点で語られている。
ひょんなことから、
盲目の17歳の青年が生まれ育った実家に戻り、一人で暮らしを始める。
偶然、
青年の家に逃げ込んだ一人の男が持ち込んだ<物騒なモノ>が、
「あずかりやさん」を始めるキッカケに。
『預かっってくれ!』と言い残し、去って行く。
その男は、
間もなく警察に捕まり、刑に服すことになるが、青年はそんなことは知らない。
この時、青年は
「あずかりやさん」という珍妙な商売を始めようと決める。
預けに来る人、預けたモノを取りに来る人を、ただただ待つ生活が始まった。
訪れた客は一日100円でモノを預けていく。
どんなものでも一日100円。
それが、使い古した鍋釜、時には幼子だったり、死にそうな子猫も。。
店主の青年が目が見えないため、中味を見られる心配もない。
なので、
預けた自分の顔も見られることもないし、詮索されることもない。
人に言えない事情や悩みを抱えた人たちは、
青年が見えないことへの安心感からか、店はそこそこ営んでいけるようになる。
預かり期限きっちりに取りに来る人もいれば、そのまま取りに来ない人もいる。
期限を過ぎたら、店主のモノとなり、処分されても文句は言わないシステム。
だが、
この若い店主には、人並外れた記憶力が備わっていた。
あずかりモノと預けた人の声色、微かな匂い、言葉の抑揚を瞬時に記憶。
だから、人とモノを間違えることがない。
なにより、青年の静謐な佇まいに、預けた人は抱えている想いをポツポツと話すように。
そして
彼らは「あずかりやさん」で、少しづつ心を取り戻し、心の澱がうすまっていく。
訪れた人たちの幾つもの物語が、「あずかりやさん」で語られていく。
そして続編の「あずかりやさん 桐島君の青春」で、
店主は父母が生きているのに、
なぜ、天涯孤独なのか、、
盲学校では頭脳明晰でスポーツも出来、
みんなの期待の星だった桐島君が、東大受験をせずに、
なぜ突然一人で実家に戻ったのか、、
注目の的だった桐島君の青春の初恋は、、
「あずかりやさん」でのいくつもの謎が、徐々に紐解かれていく。
ひとつ またひとつ
物語を読む度に、言葉に出来ない感情に、ちいさく息をのんだ。
「あずかりやさん」に来た人は、
みんなそれぞれの決着をつけ、前に向かって生きていく。
だが、美しく凛としたあずかりやの店主の物語だけは、
家族という、、とても大事な部分がぽっかり抜けていた。。。。
◇待つエネルギーの愛、、◇
「あずかりやさん」の中には、時代の流れにのまれず、
静かなで誠実な時間が流れている。
そこには、
分刻みのスケジュール、
細く弱い人間関係、
猜疑心、
自分の魂をすり減らすこと、の全てがなかった。。
ただ
一人の青年が長い年月を経て中年になっても、
変わらずに持ち続けていたのが<待つエネルギー>だった。
<待つエネルギー>が、何かと云われると、、ワタシは愛だと。
母親なのか、、どうかは分からないが、、
そこには店主の強い信念と深い慈愛を感じざる得なかった。
そして、
孤独は決して無意味ではなく、
孤独を飼いならすことが、生き方を滋味深くするのだと確信する。
素晴らしい二冊の本を書いた大山淳子さんに、心から感謝したい。
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読んで見たく成りました。
「孤独は決して無意味ではなく、
孤独を飼いならすことが、生き方を滋味深くするのだと確信する。」
私も、最近孤独に付いてそれもいいかと思い始めています。。。
私は3日前に引っ越したのですが。(詳しいことはblogに書いて居ます)
本は処分出来ませんでしたよ。。。
私のblog にも遊びに来てくださいね。
それでは また。。。
引っ越しが無事終了して良かったです!
貴方の読まれてる本とは
全く違う本ですが
見失っていたモノに気づかされる力に
圧倒されました
決して難しい話しでもなく
どこにでもある話しなんですが
描かれ方に
自分の頑な部分が揺れました
読んでもらえたら嬉しいです
これは良い小説ですね。
どちらも読みました。
んで、まだ積読に成ってますが3巻出てますよ。
サブタイトルは「彼女の青い鳥」です。
この前、ネット見てて知りました!
是非読みたいと思います
コメントありがとうございます
嬉しかった~~~(*ノωノ)
それからいいね!ありがとうございました。ブログの投稿だけは何とかできますが、その他のことは何もできません。この場を借りてお礼申し上げます。
恐縮です
人生色々あって
思うようにいかないけど
「あずかりやさん」は、出会えて良かった本です。。
心の糧になる本だと思いました
ukakuudokuさん
ありがとうございます<(_ _)>