◇歴史の万華鏡を持つ二人。。◇
ワタシが江戸にハマったのは、ある日のある瞬間だった。
故杉浦日向子さんが語る江戸の話しは、想定外だらけの内容。
面白過ぎて、どうにもワクワクが止まらない。。。
以来ズーーーーと<江戸の師匠>と決め、
杉浦さん以上の歴史を語る人は出ない、、と思い込んでいた。
江戸の賑わいや、美しさ、江戸っ子の生活の細々したことまで、
天下泰平の江戸を、まるで見てきたかのような語り口。。
著書「江戸アルキ帖」では、彼女自身が江戸を徒歩で歩き回り、
移動用の小舟<ちょっき船>の船頭に酒瓶を渡してから乗る。
そうすると、女一人の移動でも何かと気遣ってくれ、
思う存分江戸を見て回った詳細が書かれていた。
そんな冒険譚に、ワタシの好奇心はパンパンに膨れ上がった。
だが残念なことに、杉浦さんの口から魅惑的に語られるのは<江戸>のみ。
あとは、
多くの文献を元にした小説を読み耽るだけが楽しみだった。
が、
最近になりTVで、妙なワクワク感を纏い、歴史の知られざる真実を暴く人を見かけた。
その人物が、磯田道史氏。
磯田氏が有名になるにつれ、全国から祖先の書状を見て欲しいと依頼が来るように。。
それは
教科書に書かれている大雑把な歴史に、血肉をつけるモノだったり、
全く違う真実が隠されていたりと、歴史のお宝が<にょろにょろ文字>で書かれていた・・・
そして、
磯田氏は誰よりも<にょろにょろ文字>に精通していた。
歴史が大好きな磯田少年は、
史実を深く掘り下げるには、裏事情を綴る原文を読むのが一番手っ取り早いと考えた。
頼まれもしないし、
期待もされていない<にょろにょろ文字>の解読への日々に勤しんだ。
その結果、
頼まれもしない努力は、日本の歴史のモヤモヤを解明する今へと繋がった。
磯田氏の発言が気になりだした頃、彼が江戸時代の裏方である忍者の話しをした。
なにやら、どこぞで忍者の心得書のようなモノを手に入れたらしい。
話ながら、この嬉しくて堪らないという表情に、
大半の人は、
忍者?!今頃かよ、、とか
戦国時代の秀吉や信長の下らない秘密や、江戸時代の大名の性格や性癖も、
興味ないだろうなぁ・・・と。
そして
追い打ちをかけるように磯田氏が
『もったいないけど、本に書いちゃおうかなぁ~~🎵」みたいなことをノタマッタ。
見事なイケイケと
どうでもいい真実のプチ爆弾に、ワタシの好奇心のどツボは全開になってしまった。
絶対、この人の本は面白い!!!と。
そして
江戸時代への再熱の最中、幕末の実話に基づく映画が公開されることに。
映画「サムライマラソン」だった。
TVでは、豪華な俳優陣が幕末の武士たちに扮した予告編が流れている。
だが先ずは、原作を読んでから。。に徹したのだった。
◇土屋章宏 小説「幕末まらそん侍」◇
幕末のペリー来航は、長きに亘る徳川幕府を大きく揺るがした。
外様大名の長州・薩摩の不穏な動きに、
全国の藩主は言いようのない不安はあるものの、
武士の滅亡など、露程も思ってなかった時代。
大名の中でも三万石と小粒の安中藩では、
前代未聞の日本初の遠足(とおあし)と云うマラソンが決行されることに。
藩主の板倉勝明は、開国を迫る諸外国の脅威を痛感、安中藩の強化を企てた。
身分世襲制の江戸時代は、
世襲するも者の能力に関わらず、身分は受け継がれていく。
上級武士は高給取りで安穏とし、
下級武士はいつも生活に困窮し、内職に追われる日々。
265年も繰り返され、武士という身分は、生きてる限り保証された。
武芸に秀でた者はいるが、平和過ぎて活躍の場などなく、
算盤勘定が巧いか、抜け目のない者が重宝がられていた。
武士はもはやサラリーマン化していた。
それは、幕府が密かに各藩へ仕込んだ隠密も同じ。
藩に隠密として悟られてはいけない、
ただ目立たず、土地に溶け込んで内偵するのが役目。
幕府との無為なやり取りに、隠密としての価値があるのだろうか、、
と悩んだ一人の隠密が、遠足を不穏な動き有り。。とトンデモナイ手紙を幕府に送った。
実はココからが映画と原作では、天と地の差があるほど違うモノになっていた。
原作では、
藩主板倉勝明の懐の深さと知恵が冴えわたっていた。
事をやらかした隠密は、自分の愚かさに気づき必死に藩を守ろうとしたり。
藩で一番足の速い足軽は、買収されるも、
貧しさと武士としての誇りの間で揺れる激しい葛藤に翻弄され、
自分を見失いそうになる。
武芸に秀でてるにも関わらず、江戸への未練が立ち切れず埋もれている者や。
齢50で引退した槍の名人と亡きライバルの息子との絆だったり。
恙なく暮らしているように見える武士たちの心の機微は、現代と同じ。
藩主の思惑は、心の強い本物の武士をふるいにかけ、
先祖の恩恵に胡坐をかいた者たちを炙り出すことだった。
心に揺るぎない武士道を持ち続ける者こそが、これからの日本に必要だと。。
藩主板倉勝明は
学者藩主と云われるほど、学問を愛し、藩政改革も積極的に行った。
聡明で決断力に長けた人物だったらしい。
が、、
小説「幕末まらそん侍」を読み、映画「サムライマラソン」を観てビックリした。
まったくもって浅い浅い映画だったわい。。おりゃーーーーーー!!!
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江戸時代、藩士の鍛錬の為に熊野神社までの7里を走らせたのが始まりと言われますが
「安政遠足(とおあし)マラソン」として今でも参加者が仮想して走るイベントが毎年、行われているんですよ。
それは凄いことです!
「幕末まらそん侍」は
もちろん作家の脚色力の素晴らしさもあるけど、
安中藩主の板倉勝明の聡明さに唸りました
とっても深く深く人を描いてました
「安政遠足マラソン」見てみたいψ(`∇´)ψ
たかさん
貴重な情報をありがとう