ココロノキンセンイ

劇団あおきりみかん 中元志津が綴る怒涛の日々、けっこう育児日記

森光子林芙美子もつなべ

2006-10-14 23:47:20 | みたもの・きいたもの・よんだもの
放浪記、観劇。

すごかった。

森光子はやっぱり化け物だ。
あれは86歳の動きではない。
声も張りがあるし、腰だって曲がっていない。
「でんぐり返し」のシーンでは、その少し前から客席がざわつき始め、見事成功したときには拍手の嵐だった。
45年間、1800回以上に渡り同じ役を演じ続きていても、毎回新鮮な気持ちで演じることができるという。
すごすぎる。

そして、あの年齢の森光子が演じるということが話題の中心になるが、芝居も脚本もすばらしかった。
なんとなく、正統派新劇を想像していたのだが、ベタベタかつ強引に笑いを持って行き、ラスト近くまではむしろ喜劇調。
それでも全編を通じ、林芙美子の孤独と虚しさ、そして書くことへの執念を感じられた。
誰と一緒にいても同じだから私はここにいる、と駄目男のそばを離れずに、さらにひどい裏切りを受けた挙句捨てられる。

花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かりき

その通りだと思う。
話がダイジェストみたいに流れていくな、と思ったら、初演の頃は5時間あったそうだ。
休憩も3回あったし。

噂に聞いていたカーテンコールでの森光子は神々しかった。
三つ指突いておじきをしているところから幕が開き、まずは右手、次に左手をかざしゆっくりと客席に向かって手を動かしていく。
森光子曰く、お客さん全員の顔を見るつもりでやっているそうだ。
カーテンコールが終わったところで、この芝居は本当の幕がおりるんだろう。
演じることと書くことに命をかけている2人の姿が重なった。

その後、一緒に言った友人とその夫ともつ鍋を食べる。
あまりに美味しくて、鍋後にはうどん→ラーメン→雑炊とフルコース完食。
うまかった~!!