はーちゃんの気晴らし日記

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銀河鉄道の夜

2005年07月16日 | 雑談
世間は今日から3連休。
ところが、私は、休みは明日の日曜日だけ。
土曜日の今日も出勤で、月曜日のハッピーマンデーも出勤。
特に忙しいわけでもないのに、何を考えてそうしたのか、会社の年間カレンダーがそうなっています。
夏休みを間近にして、梅雨明けも間近。みなさん、それぞれお出かけなんでしょうね。

私は、仕事ですが、去年の今頃、『銀河鉄道の夜』という劇団の公演を見に行ったことを思い出しました。
娘の友達がその劇団の一員で、公演の内容は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をアレンジした話でした。
その中で印象的なシーンがありました。
「かおる子」という少女が弟と一緒に途中から汽車に乗り込んで来ます。
そして「蠍の赤い火」を見つけた時にかおる子は言います。
「ええ、蝎は虫よ。だけどいい虫だわ。」と。
蠍は、ある日、いたちにみつかって、食べられそうになったので、一生懸命に逃げるけれど、井戸に落ちてしまう。
蠍は、井戸から這い上がろうと、もがくけれど、どうしても這いあがることができなくて、溺れはじめる。その時、さそりは、
「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。
それでもとうとうこんなになってしまった。
ああなんにもあてにならない。
どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったろう。
そしたらいたちも一日生きのびたろうに。
どうか神さま。
私の心をごらん下さい。
こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。」

               <『銀河鉄道の夜』から抜粋>
蠍がそう言った途端に、蠍の身体は、真っ赤なうつくしい火になって燃え、その後、ずっと燃え続けているというものでした。

私は、先日ツバメのヒナがヘビにやられたときに、この「蠍の火」の場面を思い出しました。
自然の摂理。
弱肉強食。
ヘビも生きていかなければならないのだから、本能に従ってツバメのヒナを襲った。
あのへびに、この物語に出てくるような罪悪感などあろうはずはないけれど、あれから一週間経った今、私はあの時のヘビとこの本の蠍をタブらせてみることがあります。
たまたまあの日が七夕の夜で、天の川を渡る日だったからもしれません。
私にとっては、忘れられない七夕の夜になってしまったけれど、いろいろ考えさせられる夜にもなりました。
私は賢治のような純粋な宗教心は持ち合わせてはいないけれど、この蠍の台詞には、ジーンと来るものがありました。


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