おとといの晩、我が家に大騒動が起きました。
夕飯を終えた頃、玄関のドアにドーンと何かがぶつかったような音がしました。
その後、ドンドン叩く音。
何事?
玄関の外がおかしな事態になっているのも怖くて、出て行くのをためらっていると、息子が転がり込むように部屋に入って来ました。
部屋に入るなり、うずくまって
「歯がいてぇ!救急車を呼んでくれ~!」
唖然とする私に、
「早く救急車を呼んでくれ~!」
と叫びます。
聞けばこの日、午後からの仕事だった息子は、あまりの歯の痛さに早退してきたとの事。
「痛み止めを飲めば?」
と言うと、
「会社でバファリンを10錠飲んだけど、全然効かない。」
と言います。
そしてまた
「救急車を呼んでくれ~」
です。
「歯痛で救急車を呼ぶなんて聞いた事ない。」
と、私。
とりあえず、夜間診療の救急センターに電話してみました。
でも、センターには歯科はないと言われ、役所に夜間の歯科当番医があるかどうか聞きました。
でも、
「お気の毒ですが、歯科はないんですよ。」
という返事。
仕方なしに何か良い薬はないかと思い、薬局に走りました。
「バファリンは副作用が少ないけれど、その分効き目も弱い。イブプロフェイン配合の薬は眠くなるという副作用があるけれど、そっちの方が歯痛などの強い痛みには効きます。」
と言われ、それと歯槽膿漏の痛みに効くという塗り薬を買って帰りました。
買ってきた鎮痛剤を出すと、規定量の倍の量の薬を飲んでしまい、あららでした。
今度は胃腸をやられるんじゃないかなぁと心配しつつ、これだけ薬を飲めば少しは落ち着くと思ったのですが、一向に落ち着く気配はなく、痛い、痛いと、部屋をどんどん叩くし、叫ぶし、うるさいうるさい。
3匹は息子の様子に恐れをなして、しっぽを下げてウロウロ。
少し静かになったな、と思うとまた痛みが来るらしく大騒ぎ。
あまりどんどん叩くので、私も眠っていられず、
「静かにしなさい!」
と怒鳴りました。
その後は、叩くのはやめましたが、相変わらず叫び声がうるさい。
そして、たまに部屋から出てきては、
「救急車を呼んでくれ~!」
私もいい加減腹が立ってきて、
「そんなに呼びたきゃ自分で呼びなさい!ただし、恥ずかしいから、家から離れた田んぼの真ん中へ行って、そこへ来てもらって!」
と言いました。
「歯の痛みで、死ぬわけじゃないから」
と言うと、
「オレの歯は命にかかわるんだよ~。こんなに痛いなら、死んだ方がマシだ~」
と言います。
「冷やしたらどう?」
と言うと、
「無駄なんだよ!さっきまで冷やしてたけど、何も変わらない。内科でも何でも連れてってくれ!歯医者が始まるまで麻酔で眠らせてもらう。」
と言います。
勝手にしろ!と思って私はさっさと3匹と一緒に寝ました。
ちょっとうとうとした頃、がさがさいう音で目が覚めました。
見ると、主人が着替えています。
「うるさくて眠れないから、どこか病院へ連れて行ってくるよ。」
と言います。
病院へ連れて行くって、どこへ行くつもりなの?夜間の診療病院がどこなのかもわからないのに、と思い、また役所へ電話して、内科の当番医の名前を聞くと、私の勤務先のすぐそばの病院だというのがわかりました。
息子に
「とりあえずそこへ行ってみる?」
と言うと、息子は、
「歯医者でもない所へ行って、待合室でのた打ち回るくらいなら、家で痛がっていた方がマシだ。」
と言います。
そして、氷を出して痛む歯の周りにつけて、感覚をなくしていると多少痛みが治まったらしく、おとなしくなりました。 その後、私は朝まで眠ってしまったので知りませんが、主人は息子の「痛い痛い」と叫びながら、のた打ち回る音で何度か目が覚めたようです。
息子の歯の痛みの原因は、親知らずと虫歯と両方でした。
行きつけの歯医者さんに先月から予約をとっていたのですが、来週まで予約が取れず、治療待ちの間の出来事でした。
「そんなに痛ければ、予約じゃなくても診てくれるはずだから、明日の朝、すぐに電話しなさい。」
というと、運の悪いことにその歯医者さんはその日は休みとか。
仕方ないので、私のかかりつけの歯医者に電話するように言って、仕事に出てきました。
すると、仕事中に息子から電話があり、「ダメ」と言われたと言います。
あんなに痛がっているのに、初診で予約なしだと診られないと言うらしい。
ずいぶんだなぁと思いましたが、どこか診てくれる歯医者を探さなければと思っていたところ、私と息子のやり取りを聞いていた同僚が、
「私の知り合いの歯医者さんに聞いてあげる。」
と言ってくれて、歯医者さんもすぐに来るように言ってくれました。
息子に
「会社の人の知り合いの歯医者さんが、すぐに来るようにと言ってくれたから、すぐに行きなさい。」
と言うと、素直に「はい」と
今まで、私の言うことに「はい」なんて言った事、ないんですよぉ~
よほど、有難いと思ったんでしょうね(笑)
一番痛む歯の神経を取ってもらって、痛みはずいぶん落ち着いたようです。
私たちもほっとしました。
あんな騒ぎが二晩も続いたら、たまったもんじゃありません。
普段は、息子の勤務時間の関係で、あまり一緒にいることはなく、たまに家にいても部屋にこもってゲーム三昧の息子なので、ほとんど存在感がないのですが、こういう時は思いっきりの存在感で参っちゃいます。
「今度は、途中で治療をやめないで、完全に治るまで通いなさいよ」
というと、「ふん」でした。
痛みが治まったら「はい」と言う言葉は出ないらしい。
思ったとおり、薬の飲みすぎで胃腸をやられ、昨日は下痢と吐き気で大変だったようです。
まったく人騒がせというか、いくつになっても子供みたいな息子で、恥ずかしい話です。