先日、主人と私宛にハガキが届きました。
主人の友達からと思われるハガキでした。
私と主人は同じサークルの先輩と後輩の間柄なので、共通の知り合いは多く、主人の同級生は私にとっては先輩にあたります。
主人は卒業後も同じ学年の人、二人との交流がありました。
主人の実家は神奈川ですが、一人は卒業すると四国の実家へ帰り、もう一人は実家に帰らず東京に残りました。
年に1~2度、四国の人が上京してくることがあり、その時は三人で会っていました。
届いたのは、東京に残ったEさんからのハガキでした。
Eさんは長い間一人暮らしで、年賀状を出すと忘れたころに近況報告のようなハガキが届くことが通例だったので、そのハガキも、またいつもの遅れた近況報告だなと思って読みました。
ところが、文面の最初を見ると
「私はEの兄です」
と書かれています。
慌てて差出人をよく見ると、名字は確かにEさんでしたが、下の名前は別のものでした。
ハガキを読み進んでいくと、Eさんが今年の元日に亡くなったと書かれていました。
脳梗塞だったそうです。
先ほども書きましたが、主人は、四国の人が年に1~2度こちらに出てくるとEさんと連絡を取って三人で会っていたのですが、去年はコロナのため、四国の人も出てくることがなく、Eさんに連絡することがなく終わっていました。
一昨年、主人が電話した時、なかなか電話がつながらず、しばらく経った頃Eさんから電話があり、あまり体調が良くないようなことを言っていました。
それでも、遅れた近況報告はあったので、その後脳梗塞を発症したのかもしれないと思いました。
Eさんは、卒業後カメラマンを目指して活動していました。
そして、その時に知り合った女性とずいぶん長い間同棲生活をしていました。
私もその女性を紹介されたことがあります。
清楚な感じの女性でした。
その後、何年後かに入籍したという話を聞きました。
でも、入籍後、わずか2~3年で離婚してしまったようです。
同棲時代は相当長かったと思いますが、結婚生活はほんのわずかでした。
これは、私の想像ですが、Eさんは、自分がカメラマンとして大成して生活が安定してから結婚しようと、考えていたのかもしれないと思います。
Eさんが、カメラマンを目指している間、彼女はEさんを支えるべくずいぶん仕事をがんばっていたように思います。
Eさんの生活は、彼女のバックアップで成り立っていたと言っても過言ではなかったと思います。
離婚してからか、それともその前からなのか、Eさんは、結局カメラマンとして食べていくことはあきらめたようで、まったく関連のない別の仕事に就きました。
もしかしたらその辺のことが二人の関係を悪化させてしまったのかなと勝手に思ったりしています。
二人の間に子供はなく、その後Eさんは、東京で団地住まいをしていました。
だいぶ前にEさんから電話がありました。
当時は我が家に三人の孫たちが毎日のように来ていたので、電話の声が聞こえなくなるほど騒がしく、そんな孫たちの声が電話口に響いたりしました。
それが逆にEさんに寂しさを感じてさせてしまったらしく、電話の向こうでさみしそうな口調でそんな風に言っていたことがありました。
何年か前のサークルの集まりで私も会ったことがありますが、あまりに痩せていて一見しただけではわからないほど、別人のようになっていました。
Eさんは、以前はどちらかというと太り気味だったので、みな驚いていました。
健康のためにダイエットをしたと言っていましたが。
奥さんと別れ、その後30年以上一人暮らしを続けた後、体調を崩してしまったようで、最期はお兄さんが看取ったということでした。
「元の奥さんは知っているのかな?」
と、主人がポツンと言っていましたが、その時私も同じことを考えていました。
その後、主人はずいぶん落ち込んでいたようですが、今は何とか元に戻っています。
同学年の友人が亡くなったという知らせは、相当堪えたようです。
Eさんは、優しそうなきれいな目が特徴の人でした。
彼の性格もあったと思いますが、ちょっと決断力に欠ける部分があったのかなと私は想像しています。
Eさんの訃報を聞いて、なんだかさみしい人生だったように感じてしまい、そう感じることが申し訳ないような気がしています。
彼にとって、それなりに納得できる人生であったと思いたい。
ご冥福を祈りたいと思っています。