みなさん、こんにちは。
そしてブログでは「綺」と「感」に注目してみました。
漢字の成立ち辞典(加納喜光著)によると、「綺」のなかにある「奇」は可(直角に曲がる)+大(大の字型に立つ人)で、正しく立つ人がバランスを欠いてかたよるようすを示しているそうです。
つまり奇には、
「バランスを欠いてかたよる」
「斜めによりかかる」
というイメージがあり、
寄 奇(斜めによりかかる)+宀(家) 他人の家に立ち寄るさま。身を寄せる。寄宿。
騎 奇(斜めによりかかる)+馬 馬に寄りかかって乗るさま。馬に乗る。騎馬。
崎 奇(斜めによりかかる)+山 山道が斜めに寄りかかり、険しいさま。険しい。
綺 絹糸を斜めに織り込んで模様を出した織物。あや絹。美しい。
倚 斜めに寄りかかってもたれる。夜。
椅 果実が枝の端に垂れ下がり、枝が斜めに傾く木。または背もたれのある腰掛け。椅子。
となるそうです。
一方、感にある「咸」はかつては「みな」という意味があったそうです。字の形は戌(武器)+口で、武器で脅してものを言わせないほどショックを与える形だそうです。ここから咸には、
「強いショックを与える」
「口をふさぐ」
というイメージがあるといいます。それで、
感 咸(強いショックを与える)+心 強いショックに触れて心を動かす。感動。
憾 感+心 強いショックとしていつまでも後に残る気持ち。恨む。遺憾。
減 咸(口をふさぐ)+水 水源がふさがれて水量が減る。減少。
撼 ショックを与えて揺り動かす。震撼。
緘 とじる。口をふさぐ。封緘。緘黙。
鍼 体に刺激を与える「はり」。
箴 竹のはり。転じて戒め。箴言。
となるそうです。
秦の咸陽は「口をあんぐりと開けてしまうほど大きな都」なのかな、思っていましたが、由来は古語の「みんな」。
北に山、南に川があり、南北ともに陽。つまりみんな陽なので咸陽、のようです。
ちなみに前回の千字文は春秋戦国時代のワードでしたが、今回は前漢と殷です。ずいぶん時代がとんでいます。
綺廻漢恵の綺は、綺里季という儒者の名前です。
秦の始皇帝の焚書坑儒から逃れ、山に隠れた4人の儒者の一人で、漢になっても、高祖を嫌がって山で暮らしていました。
そんなとき、2代目とみられていた太子に廃嫡の動きがあり、母親が張良に相談したところ、綺里季らを招くことができれば廃嫡を防ぐことができるかもしれない、とアドバイスされます。
太子が礼を厚くして4人を招き、4人の姿をみた高祖が廃嫡を考え直した。そんな物語です。廃嫡の危機を脱した太子がのちの恵帝です。
説感武丁は、殷の高宗・武丁がある夜、「説」という名の賢人に補佐されて天下を治める夢をみたそうです。
その夢に出てきた人の人相書をつくり、全土を探させ、その人を発見。宰相にして殷は栄えたという話です。
ずいぶん長くなりましたが、8文字が歴史系になると、どうしても長くなってしまいます。これ、千字文の注釈書もおなじようで、そっけないときは語句の説明だけなのに、歴史となると筆に力が入っています。
リンク先にあるプリントは千字文(岩波文庫)、漢字源(学研)などを参考にしてつくりました。
子どもが漢字を身につけるのに役に立つと思います。小学生のお子さんがいるお知り合いの方がいたら、よければこのブログを紹介してください。
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