大作家の作品を読むと、自分の作品宇宙をどれだけ細かく創造できるか考え込んでしまう。メジャーデビュー作「家屋調査は永遠に」が5月に文芸社から発売されることになったが、家屋調査という日常業務、税金という日常を、未来・火星都市という状況に織り込んで、SF黄金時代の「アッ」という驚きがでているか、心配です。
沢田研二(ジュリー)の「Tokio」をご存じだろうか?「空を飛ぶ 街が飛ぶ 雲を突き抜け星になる~」。ジェイムズ・ブリッシュ宇宙都市シリーズ第2巻「星屑のかなたへ」を読み終わったが、東京ではなく「ニューヨーク」が飛び回っている。当然、「Tokio」のモトネタとなったアイデアだと思いますが、すごい作品です。スピンデェジーという超高速航法・遮蔽作用・反重力を兼ねた技術で都市がそれを支える岩盤もろとも宇宙を飛び回り、「渡り鳥都市」として仕事を探して宇宙に散らばった植民星を巡る。とんでもない話だが、SF黄金時代のワクワク感がすばらしい。