「やめろ、フリダ!これ以上オレを縛るな!」
「死ね、ラヴピ」
「やめろ!フリダ!」
フリダの手指の爪から生えている鞭が撓った
ピチッ!ペシッ!!
「はあ、気持ち良い!気持ち良くてたまらん!もうやめてくれ!」
「くらえ!」
フリダが左のハイヒールの踵をラヴピの右の大胸筋に押し込む
「ああ!たまらん。気持ちが良すぎる」
「まだまだ足りてないわよ!この豚男!!」
「あゝ!そんな美しい言葉を吐かないでおくれ!!」
「この変態クソ野郎が!!」
ラヴピの顔が歪む
悶絶寸前の心と肉体が達して、涎が滴る
「も、もうやめるんだ、フリダ。い、いっておるだろう、オ、オレのこの亀甲縛りはこの世の縛りを意味する。ただでさえ年々、オレの縛りはキツくなっているのじゃ。気持ち良過ぎてたまらん。その上お前にこれ以上の快楽を与えられたら、オ、オレは」
「快楽死するんだろ」
「そ、そうじゃ。オレの命が絶つ唯一の条件、快楽が果ての先の溜てに達することじゃ。オレは既に果てている。オレには危殆が迫っておる」
「ふん、ラヴピ。法、倫理、道徳。コンプライアンスやハラスメントまでも加えた徹底した世の中。ちょっとした冗談と溢した一言でさえ失言と捉えられ世間から罵られる」
「そうじゃ。フリダ。オレは苦しい。こんな世知辛い世の縄はキツすぎて気持ちが良すぎるのじゃ。縄が軋む。少し緩めてくれんか。平常を取り戻したいんじゃ。たのむ。少しでいいんじゃ」
「これから、もっと厳しくなるわ。コンプライアンス違反の処罰やハラスメントの対象は広範にわたっていく」
「そんな、そんな世の中では愛と平和は為せんじゃろ!オレは、オレは・・」
「なに」
「ラヴピじゃ!」
フリダの右のハイヒールの踵から炎が吹き出した
「ラヴピ、ありがとう」
「はああ!」
業火の焔に晒され意識を失った
・・・・
「やったか」
「コク様。はい、ラヴピはもう不能でしょう」
「これからはフリダ、お前の時代だ。女神として思う存分、女神の自由を振り撒くがよい」
「はっ。コク様。際限なき自由を人間たちに味わわせてみせます」
「うん、そうだ。見せてやれ。自由の恐ろしさを」
「ハッ、愛と平和のない自由」
「そうだ。三歌鼎立と言ってな。わかっておるな、フリダ」
「愛、自由、平和。この三つは全てが補完しあった関係性ということです。どれか一つが欠けてしまえば、他の二つも為すことはできない」
「そうだ、ラヴピを不能にして愛と平和を閉じ込めた。どうなる」
「自由の狂騒です。愛と平和が制御できない自由は狂気。侵そうが犯そうが冒そうが自由」
「そう」
「殺人さえも、自由です」
「アーハッハ!」
コクの笑い声と同時に光が差した
ラヴピの身体が光に包まれる
「ない!コク様!ラヴピが消えました!」
「なんだと!」
「ラヴピよ、目覚めい」
「・・ん、ん。て、テンシ様?」
「大丈夫かい?ラヴピ」
「はっ、な、なんとか・・」
「まだまだじゃの、まだまだじゃ」
「申し訳ございません・・」
「それでは馬花な神は務まらんぞ」
「はい・・」
「修行じゃ」
「えっ、修行」
「そうじゃ、亀甲縛りはキツいか」
「はい、キツいです。快感もかなり強いです」
「きついじゃろ、過度の快感は、」
「地獄です」
「うん、何か望みはあるか」
「わ、私は。ただ、平常心で定食屋の生姜焼き定食が食べたい。ゆっくり、ゆっくりと・・快感が邪魔して落ち着かないですし、味わえないのです」
「そうか、辛いのう」
「は、はい」
「良いか、これから快感の許容量を上げる修行をする」
「快感の許容量?ですか」
「そうじゃ。あのフリダとコクの攻撃は予想外じゃったが・・・そうでなくてもこの世界の縛りはお主の縛りと連動しておるな」
「はい」
「ハラスメントやコンプライアンスを超える縛りが出てくるかもしれん」
「恐ろしいです。これ以上私の亀甲縛りがキツくなれば私は快楽死してしまいます」
「そうじゃ、だから修行をするのじゃ。これ以上縛りがキツくなろうとも、へこたれんようにじゃ」
「はい」
「ここがどこか分かるか?」
「いいえ」
「H山じゃ」
「エッチやま・・・気持ち良さそうですね」
「違うエイチ山じゃ。だがそう、ここでエッチの耐性を上げる」
「エッチの耐性・・・快感の許容量ではなかったでしたか」
「どっちでもいいのじゃ」
「はい」
「山の神、マンテン頼んだぞ」
マンテンが大きく揺れて唸り声をあげた
「ラヴピ!!お前に特別な馬を用意した!これで快楽上限値を上げるのだ!!」
「はう」
ラヴピよ
テンシさま
よいか
はいよすぎます
ちがうそういういみじゃない
はう
フリダとなかよくするのじゃ
はう
さすればあいとじゆうとへいわがなかよくなるんじゃ
はい
さんかていりつじゃよ
はみ
かけてはならん
はう
ワシにもせきにんがあるからの
はあ
コクはワシが倒す
毒キノコになる準備はできておる