遺跡のような円形劇場に住み着いた少女モモは、人々の話をちゃんと聞くという能力があります。モモに悩みを聞いてもらった人は、なぜか自分で解決策やなぐさめを得ていく。これはプロのカウンセラーの仕事です。
司会の伊集院さんは、「阿川佐和子の『聞く力』」とおっしゃっていましたが、まさにまったくの偶然で、手元にその『聞く力』があって読んでいたところでした。たまにこういうことありますよね。本に呼ばれたなって気がする。
この本は、阿川さんが週刊文春の対談連載「この人に会いたい」から得た気づきを披露してくれているものです。インタビューのコツとか醍醐味のようなことが、対談した有名人のエピソードとともに話すように書かれているので読みやすく面白い。
一番重要な心がけは、「相手の話したいことを引き出す」ようにするってことですかね。それが、引いては読者の知りたい情報を聞き出すことにもつながるようです。
そこが単なる雑談とは違うところでしょう。「雑誌に掲載するインタビュー」なので、テレビと違って適切な合いの手を入れなくてはならないし、ときには自分の話を少し挟んで相手の記憶の呼び水になるようにする。でも決して自分の話ばかり話しすぎてはいけない。次の質問や進行に囚われて話に集中できていないようではダメ。などなど。
阿川さんは、決してインタビューが得意ではなく、むしろ長年苦手にしていて、この本の出版時点(2012年)ではだいぶ慣れたものの、まだまだ緊張するし上手くなった気がしない、と大いにこの本の出版に恐縮していました。確かに数々の失敗談が披露され、最初からうまかった人ではないと分かりますが、それも親近感ですね。失敗から学びつつ成長すると、醍醐味がわかってくるってもんです。
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