『ぼくはイエローで、ホワイトでちょっとブルー』(ブレイディみかこ/新潮社)を読んで、現在のイギリスの貧富の格差拡大や、失業者と貧困の子どもの増加などは、「保守党による緊縮財政」のせいだという印象を抱いたので、これは意外なことだった。今度こそ国民は保守党にノーを突き付けるのだろうと思っていたから。
先日のNHKのニュースでも、EU離脱の国民投票が行われた2016年には選挙権が無かった若者が、「今度は自分たちが投票してEU残留を成し遂げたい」としていた。移民で他国にルーツを持つ友人たちが、ヨーロッパを自由に行き来できなくなったときどうなるかをとても心配しており、これもブレイディみかこさんの著書の世界と繋がった。
しかし、12日の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を見て、 地方の高齢者たちは、「EUのせいで不景気になった」と思っていることが分かった。陶器の伝統産業(ウェッジウッド)の工場が閉鎖され2000人もの失業者が出たことなどを伝え、かつてそこで働いていた高齢者たちは、EUによって工場が閉鎖し失業したと訴えていた。「グローバル化についていけなかった」と番組は表現していたが、そう思っているなら確かに離脱したくもなるだろう。
ただ、離脱した先は明るい未来が待っているのか?それは不透明だ。結局、"政治のさじ加減”は大きいのではないだろうか。
12日の朝日新聞で、ブレイディみかこさんがコラムを寄せているが、今回の選挙では野党も保守党も緊縮財政をやめる趣旨の公約を掲げているそうだ。今更だが、守られるなら良いことに見える。失業者や貧困の子どもが増えることは、税収が減り未来の担い手が先細りになることを意味するのだから。これは日本も他人事ではないと強く危機感を感じるところだ。
保守党を率いるジョンソン首相は、選挙活動で地方を回り保守党支持を固めたが、自身の選挙区ロンドンでは支持されておらず、「首相なのに落選しそう」という異例の危機的状況だという。そうなれば面白いが、そうしたゆがみこそがイギリスの分断を表しているのだから笑いごとでもない。選挙の結果は13日開票で、昼には結果が分かるという。
朝日新聞デジタル:(欧州季評)英保守党、脱緊縮の総選挙 暗黒の2010年代の終焉 ブレイディみかこ
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14291122.html
テレビ東京:WBS
https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_192410/
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