そして、うーん、よかった。「悪人」とか「怒り」みたいな、どうにもやりきれない哀しい終わり方なんだろうかと恐れていた(それはそれでいいけど…)のですが、さいごは涙目になって胸熱の終幕でした。
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〈あらすじ〉
一家三人を惨殺した罪で死刑囚となった21歳の鏑木(横浜流星)は、自らを傷つけて救急搬送される途中で脱走する。
正体を隠しながら各地を逃亡するなかで、工事現場や編集社、介護施設で出会った人々と交流していくが…。
一方、執拗に鏑木を追う捜査一課の刑事(山田孝之)には、ある疑問と葛藤があった。
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宣伝文句は「5つの顔を持つ逃亡犯」だけど、器用に変装して会う人ごとに騙して…という感じはなく、むしろあんまり変わってないのですぐバレるよなあという風体で必死さが伝わってきました。
最初はけっこうバイオレンスなので見ている方も犯罪者として見るのですが、やがて彼が強く冤罪を主張していることがわかってくると、やはりそれを信じる気持ちになってきます。
冤罪を覆すのはかなり難しいし、国家権力からこれをやられたらもう絶望しかないという状況に目の前が暗くなる思いがしました。
ただ、山田孝之(刑事)の最後の決断は素晴らしかったし、そういう心境にさせた鏑木の言葉がまたよかったです。ここが物語の肝だったんだなと。
思っていたより複雑さはなく悪役がステレオタイプだったりしますし、現実はこんなに甘くないって物足りなく思う人もいるかもしれません。が、私は、映画でくらいこういう胸を熱くする収まりの良い展開でいいじゃないか!って思いました。
人を信じる、信じたい気持ちを肯定する話で私は好きでした。
話はだいぶ違うけど、ちょっと「ショーシャンクの空に」を思い出しましたね。