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花日和 Hana-biyori

淀川長治の映画評が…

ススキの穂が急に開いて存在を主張してきました。秋ですね。

***

『高校生のための文章読本』のなかに、淀川長治さんの「自転車泥棒」の映画評がありました。

淀川さんはその昔、特徴のある語り口で日曜洋画劇場の解説をされていましたね。私にとっても馴染みぶかいです。

そして名作として名高い「自転車泥棒」ですが、私は観たことがありません。

ところが、淀川さんはさいしょからラストまで流れるような語り口でがっつりネタバレしておられ、衝撃を受けました。

戦後間もない不景気な時代のイタリアで、失業中のお父さんが8歳くらいの息子とポスター貼りの仕事をしているとき、大事な自転車が盗まれてしまうという話です。

その本が「非情なまでの現実凝視」と解説しているくらい、まあ悲惨な展開です。そのみどころ、デティールを、短い言葉だけで再現しててすごいです…けれども、ぜんぶ言っちゃってるなあと。

むかしから、映画の前にかなり先を言っちゃう人だと思っていましたが。

映画の内容とダブルで衝撃が強すぎました。でも淀川さんを悪く思うことはできません。だってその文章3回くらい読み直したんですから。

読み返すと、ネタバレしているだけの単なる感想じゃないなあとなりました。


ただ、この映画、アマプラで観れることは確認できたのですが、あまりに可哀想過ぎてやっぱり観れねえや…となったので、ネタバレしても問題ないとは言えませんねえ。

淀川さんの解説だけで、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観た後のような暗く胸が塞ぐような切なさを感じてしまいました。

メンタルやられるほどつらすぎる映画は好きじゃないけど、こういうものを作ることの意味や意図をいつも考えさせられます。





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