不条理のなかで、人はいかに生きるべきか、ということを描いた小説だそうです。いま、タイムリー過ぎるこの回を再放送してくれたのはエライ。
最初に警告を発した医師と権力者たちの噛み合わない問答は、いまの日本でやって来たことそのもののような気がしました。番組指南役の先生が「当局は、ペストという言葉の影響力のほうか大事。もし違った場合、責任は取りたくない」という解説が納得でした。
先日読んだ記事では、感染症の専門家が人との接触を8割減にしなければならないと訴えているのに「7~8割、6割でもいい」とねじ曲げられたという訴えがあり、この小説の当局の姿勢そのもののような気がしました。
この小説では、人々もカフェやオペラに集い現実逃避。思い当たるリアルな人間の危うさがよく描写されています。
そんな中でも、医師が「ペストと戦う唯一の方法は、誠実さ」(自分ができることをやる)と言っていて、神やヒロイズムを信じないという姿勢に共感しました。そして不条理の中でも様々な人間の生きざまを肯定的に描き出していて圧巻。本当に上手く良く練られた小説なんだという印象を持ちました。これは本当に、いま読むべき本ですね。
薄曇りの八重桜
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