「キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで」田房永子/バンブーコミックスエッセイセレクション
ちょっとしたことですぐカッとなりキレる、暴力をふるってしまう女性(著者)が、その悩みを克服するまでの実録マンガです。
こういう実録マンガエッセイって、すごい体験を赤裸々に語る→何かに気付いて→前向きに、くらいの印象でしたが、これはちゃんと「治る」まで書いてあって感心というか、おお、と思いました。
夫にイライラする気持ちは分かるし、私もたまにキレますが、グーで殴るとか暴力をふるうとかまではありません。だから共感するというものではないけど、その治っていくために頑張る過程とか、方法をちゃんと具体的に示しているのが素晴らしいし、すごくなるほどと納得しました。
著者が試してよかったものとして「ゲシュタルト療法」がありました。
詳しくいうと長くなるので、自分が納得した一部分を言うと、
人の会話を「状態」と「心」に分けて考える。
「ひどいことを言われた」が「状態」、それに対し「逆らうんじゃないよ」と言うのも「状態」にしか答えていない言葉で、これでは「心」は置き去りになり、いつまでも苦しい状態が続いてしまう。「心」に対しては、いったん気持ちに共感してあげる言葉が必要。他人でも、自分でもいいから自分の心を分かってあげることが大切。
それと、「今ここにいる」ですね。
「未来」や「過去」を考えてしまうと不安になり、イライラするもと。なので、今目の前に見えるものを描写し続ける。「机があります」「木があります」「緑色です」などだけで、他の余計なことは考えない、という手法です。ある程度訓練が必要とのことですが、ちょっとやっただけでその間だけは余計な不安に襲われないことが分かります。
この田房さん、キレる自分を隠さず全部ぶっちゃけているところがエラいです。なぜそういう自分になったのかという過去も含めて。そうしないと、自分と同じ苦しみを抱えた人が救われない、ということがよくお分かりなのでしょう。
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