ここからは通信本文です。
健康フェスタ ご報告
一般社団法人メンタルさぽーと協会
東京精神障害者スポーツサポートクラブ 大島裕子
令和5年5月21日(日)、エスフォルタアリーナ八王子にて開催された健康フェスタ2023へ、八王子障害者団体連絡協議会より依頼を受けて東京精神障害者スポーツサポートクラブが体験会と展示をしてまいりました。私たちのブースでは、「ミニボッチャ体験」と「ミニフットボール体験」を提供しました。当日、多くの出展ブースの中、障害者スポーツクラブとしての独自性を出せるような工夫を凝らし、お子さんから大人まで楽しんでいただけるよう準備をして参加しました。
私たち東京精神障害者スポーツサポートクラブは、就労継続支援B型事業所プエンテ内の生産活動として当事者主体で運営しています。当日までの準備や来場者の方への対応など、初めての体験で本当に大変でしたが皆一丸となって頑張りました。また、地域の皆さまとスポーツを通じた交流はとても貴重な経験をさせていただと思います。地域の皆さまと触れ合える機会をいただき、東京精神障害者スポーツサポートクラブの活動を知っていただく機会をいただきありがとうございました。
○運営として参加していただいた当事者の方の感想をご紹介します
東京精神障害者スポーツサポートクラブの運営スタッフとして、健康フェスタ・食育フェスタに初参加しました。この様な大きなイベントに初めて参加したので、お客さまが来なかったらどうしようかと緊張していたのですが、当日は私たちのブースに150名程お客さまが来てくださって本当に嬉しかったです。私の担当したミニボッチャ体験ブースにも午前中からたくさんのお客さまが来てくださいました。印象的だったことは、年配の女性にボッチャのルールを説明している時に小学生の男の子が来たので、一緒にやる?と聞いたところ、ハイとの返事。そこで二人に試合を体験していただきました。試合結果は1-1の同点で試合後、二人が固い握手を交わしていたのが印象に残りました。年齢、性別の垣根を超えて共に笑顔になれるのがスポーツの良い所だと改めて思いました。 (M・Y)
〇東京精神障害者スポーツサポートクラブ(TSSC)について
心の健康や発達に困難な体験をされた方の中には、スポーツをする機会から遠ざかる事を余儀なくされ活動したいが適する機会が少ないという事があります。スポーツを楽しむこと=QOL向上=人生を楽しく生きることに通じると考えています。プレーする楽しみ、観る楽しみ、運営する側の楽しみ等、さまざまな形で楽しめるのがスポーツ活動です。身体を動かして気持ちがすっきりしたり、いつの間にか笑顔になっていたり‥みなさまもご経験があると思います。スポーツは、心身の健康維持や豊かな人生を送るうえで大変有意義な活動です。障害のあるなしに関わらず、社会生活の中で誰もがスポーツに参加できる環境作りを目指して活動しています。現在は、フットサル、ウォーキングフットボール(歩くサッカー)、ソフトバレー、卓球と活動を広げています。
みなさまとスポーツの場でお会いできるのを楽しみにしています。
連載コラム Vol.73
『楽園ならざる場所だからこそ』 八障連代表 杉浦 貢
あえて……あえての表現で、乱暴な言い回しを許していただけるならば……
学校という場所は、子どものための遊園地であってはならない。
というのが私の持論です。
この場合、遊園地という表現は、楽しい場所、楽しませるサービスのある場所。
という意味になります。
では何をするかと言えば、辛いこと、苦しいことを学び取る場であると私は認識します。
いわゆる、子どものわがままが抑えられ、好むと好まざるとに関わらず、集団の論理で一日の物事が進む。
その実態を学ぶ場が、学校だと思うのです。
そして……その『集団の論理』というものも、先生たちの思惑で、いくらでも都合のいいように解釈され運用されます。
では……学校において、先生は絶対の権力を持った独裁君主なのか、といえばさにあらず。
子どもさんから見れば、それなりに大きな権力を持っているように見える先生も、実はややこしい大人のルールでがんじがらめにされています。
そういう……生きにくさ、過ごしにくさを体感する場所として、学校というものがある、と思うのです。
でも、これはあくまで私の意見。
所詮は一個人の一意見に過ぎないものです。
中には……
『そんなことはない。自分の学校生活は楽しかった、幸せだった』
という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、よく思い出してください。
『学校が楽しかった』
という、幸せな体験をした方は……
先生と話すのが楽しかった。
友だちと過ごす時間が楽しかった。
授業が面白かった。
ということで、巡り合わせが上手くいって,楽しく過ごせていたのかも知れません。
つまり、相性のいい友だちに出会えなかったり、子どものことを見てくれない先生が担任だったりすれば、
たちまち、楽しかったものも辛くなり、それまで見えていなかった、苦しい面が見えて来るでしょう。
遊園地というものは娯楽の場所です。
最初から、訪れた来客を楽しませる場所としてそこにありますが……
学校というのは、そうではありません。
学校の本分は、生きる力を身につける場であります。
学校が楽しいという子は…必ずしも学校という場所そのものが楽しいのではなくて……
あくまでも、先生、友だち、授業……といった
『繋がり』や『巡り合わせ』
が楽しいのです。
これは、学校そのものが場所として楽しい、というのとは違う……と、私は考えます。
学校生活を楽しめない子どもさんは、自分の力で校内に居場所を作り、気の合う友だちを増やし、どうしたら授業が面白くなるのか……
居心地の悪さを跳ね除けて、自分で考えていかねばなりません。
そういう経験こそ、大人になってからの、生きる力の……
大事な土台、人生の基礎になっていくものかもしれないのです。
もちろん、居心地の悪さが自分の限度を超えれば
『学校を休む』とか『学校に行かない』
ということも、選択肢に入れて構わないと思います。
『学校』という場所が地域にあることを通して
『そこから逃げる』
ということを学ぶのも、人生の危機管理という意味では大切な経験です。
逃げることを考えず、逃げ道を探さずに真正面から向き合えば……心を病んだり身を壊してしまうかも知れません。
難しい課題にぶち当たった時、先に進むか一旦休むか、はたまた、別の場所に移るのか……そういう判断力を身につけるのも『学校』という場所があればこそ……可能になる事だと思うのです。
『障害のある子をどの学校に通わせるか』
という話になってくると、
よく『障害児はいじめられる』とか『障害が理由になって授業に着いて行けない』
なんてことが話題になり
『だから特別支援学校、または支援学級が必要になる』
という結論になってしまいがちですが……
授業についていけない子なんて、普通校にいるような、障害のない子にも、実はたくさんいるものです。
であれば……いっそのこと、授業の遅れがあったとしても、障害児が普通校の、普通教室に通って悪いという道理がありません。
いじめというのも、あってはならない、あって欲しくない事ではありますが……
いじめや差別はどこにもあります。誰でも経験者になる可能性があります。
人間に思い込みや偏見がある限り、無くすことはできないものです。
そしてそれは、子どもの頃だけでなく大人になってからも、ずっとついて回ります。
であれば、小さなうちからこれに慣れておき、被害を最小にする対処法を身につけることも大切です。
もちろん、先に述べたように、一個人の努力や対処だけでどうにもならない場合には、登校を拒否したり、転校したりして居場所を変え、一からやり直すことも必要になるかと思います。
現状……私も含めて、世の中の大人は、若く小さな子どもさんたち世代のために、ほとんど何もできていません。
親や先生といった人たちも『子どものため』と言いつつ、自分のことしか考えない場合が多いです。だからこそ、過酷な環境の中で子どもさん自身が強くなっていく。
工夫しながら自分を守る手段を身につける必要があると考えます。
しかし、理想としては先に生まれた大人が、後から生まれた子どもさんのためにより良い社会を作る責任があるはずだと考えています。
事務局通信 Vol.88
西武鉄道株式会社は、訪日外国人観光客受け入れ体制の強化を目的に、翻訳対応透明ディスプレイ「VoiceBizⓇUCDisplay」の実証実験を2023年7月10日(月)より西武新宿駅にて開始したと報道がありました。(西武鉄道HPより抜粋https://www.seiburailway.jp/newsroom/news/20230705_honyaku/)
景気が低迷する日本ですが、コロナで一時的に減少した外国人観光客の受け入れを強化して国内消費に貢献する狙いということでしょう。インフォメーションの駅員と客の間に透明なパネルが設置され、それぞれの言語で話した内容がお互いの透明なパネル画面に翻訳されて写されるということです。現在は試験導入で、今秋あたりからの実施を目指しているということです。翻訳機能は商品として登場した最初は使えるレベルとは到底言えない状況でしたが、数年経った今ではかなりのレベルになっています。
AIの飛躍的な進歩もあり、ITの成長加速は目覚ましいものがあります。AIについては様々な考え、危険性も含めて議論があるところです。使う側の人間のモラルや思想性の影響から大きな災いにもなるでしょう。突き詰めればAIを手段として使用する人間の心のありように依るのでしょう。国際的にもそうしたAIの悪活用への規制を設けることが課題となっています。
しかし一方で人々の生活に貢献する可能性は大きいです。総務省は障害者団体などに対してAIやIoTの活用についてヒアリングを行ったり、様々な研究機関や団体が障害者からの視点から活用をすすめるべきと意見を発信しています。総務省ではスマートインクルージョン構想という事業を実施し石川県加賀市で試行されています。すべての人がインクルーシブな社会で生活できるようITなども含めて活用していく試みです。東京都のスマートシティ構想の一環で南大沢の試行事業で意見を八障連としても会員団体より声掛けをいただき参加しました。これもITを含めた街づくりの取り組みです。
以前からタブレットPCで点字をテキストデータで点字としてタブレット端末を通して表現したり、点字でうったメールをテキストデータで文字として相手に送ったりすることはできます。インターネットの情報を読むために音声ガイドや点字への変換は画期的です。また音声の文字お越しの機能も昔に比べると飛躍的に日常で活用できるレベルになっています。先日、zoomで文字お越し機能を使用しましたが、数年前ならアメバTVの文字お越し機能は誤訳ばかりでしたが(これも試行的な学習機能を搭載した試みかと思います)、今は無料で使用できる文字お越し機能でもかなりのレベルに達しています。ソフトバンクが映像に映った手話を文字に翻訳するサービスを試みています。AIに学習させて翻訳機能を向上させるためにユーザーの参加を集めています。(ソフトバンクのHP https://www.suretalk.mb.softbank.jp/HP )他にもこうした試みをしている企業はあるかと思います。
未曽有の高齢化社会を迎える日本ですが、人口が多い都市部の私たちの生活でもその影響がいよいよ顕著に表れています。運動の後継者、職員のなりての無さなど若い世代がいなく高齢化を迎えています。私が所属しているB型事業所など作業を行いますが、職員の高齢化が進む一方、重い荷物を持たないといけないことでの体の負担、故障ということが課題となっています。これについても、今は笑い話になるように見えても、重い荷物をもつ動作をサポートするロボットスーツなどを当たり前に使用する日常が目の先にあると思います。パラリンピックなどパラスポーツが八王子が盛んになってきていますが、AIをはじめITを活用した義足や脳神経に直結した身体フィジカルの活用が競技としてどこまで認められるのか、という線引きがもうすぐ課題になるかと思いますし、既にそうした取り組みがあると思います。
そういった意味ではAIの登場により、その影響を福祉の現場でも考えることが予想よりも遥かに早く対応を迫られている状況があると思います。
いつの世も制度の変化、価値観の変化を常に求められますが、「何のために」に営みが行われるのかということは根底にある一貫したテーマになるかと思います。そういった意味では障害当事者の視点を中心において街づくりを思考する試みは重要に思います。(文責:事務局 有賀)
通信本文はここまで。
一般社団法人メンタルさぽーと協会
東京精神障害者スポーツサポートクラブ 大島裕子
令和5年5月21日(日)、エスフォルタアリーナ八王子にて開催された健康フェスタ2023へ、八王子障害者団体連絡協議会より依頼を受けて東京精神障害者スポーツサポートクラブが体験会と展示をしてまいりました。私たちのブースでは、「ミニボッチャ体験」と「ミニフットボール体験」を提供しました。当日、多くの出展ブースの中、障害者スポーツクラブとしての独自性を出せるような工夫を凝らし、お子さんから大人まで楽しんでいただけるよう準備をして参加しました。
私たち東京精神障害者スポーツサポートクラブは、就労継続支援B型事業所プエンテ内の生産活動として当事者主体で運営しています。当日までの準備や来場者の方への対応など、初めての体験で本当に大変でしたが皆一丸となって頑張りました。また、地域の皆さまとスポーツを通じた交流はとても貴重な経験をさせていただと思います。地域の皆さまと触れ合える機会をいただき、東京精神障害者スポーツサポートクラブの活動を知っていただく機会をいただきありがとうございました。
○運営として参加していただいた当事者の方の感想をご紹介します
東京精神障害者スポーツサポートクラブの運営スタッフとして、健康フェスタ・食育フェスタに初参加しました。この様な大きなイベントに初めて参加したので、お客さまが来なかったらどうしようかと緊張していたのですが、当日は私たちのブースに150名程お客さまが来てくださって本当に嬉しかったです。私の担当したミニボッチャ体験ブースにも午前中からたくさんのお客さまが来てくださいました。印象的だったことは、年配の女性にボッチャのルールを説明している時に小学生の男の子が来たので、一緒にやる?と聞いたところ、ハイとの返事。そこで二人に試合を体験していただきました。試合結果は1-1の同点で試合後、二人が固い握手を交わしていたのが印象に残りました。年齢、性別の垣根を超えて共に笑顔になれるのがスポーツの良い所だと改めて思いました。 (M・Y)
〇東京精神障害者スポーツサポートクラブ(TSSC)について
心の健康や発達に困難な体験をされた方の中には、スポーツをする機会から遠ざかる事を余儀なくされ活動したいが適する機会が少ないという事があります。スポーツを楽しむこと=QOL向上=人生を楽しく生きることに通じると考えています。プレーする楽しみ、観る楽しみ、運営する側の楽しみ等、さまざまな形で楽しめるのがスポーツ活動です。身体を動かして気持ちがすっきりしたり、いつの間にか笑顔になっていたり‥みなさまもご経験があると思います。スポーツは、心身の健康維持や豊かな人生を送るうえで大変有意義な活動です。障害のあるなしに関わらず、社会生活の中で誰もがスポーツに参加できる環境作りを目指して活動しています。現在は、フットサル、ウォーキングフットボール(歩くサッカー)、ソフトバレー、卓球と活動を広げています。
みなさまとスポーツの場でお会いできるのを楽しみにしています。
連載コラム Vol.73
『楽園ならざる場所だからこそ』 八障連代表 杉浦 貢
あえて……あえての表現で、乱暴な言い回しを許していただけるならば……
学校という場所は、子どものための遊園地であってはならない。
というのが私の持論です。
この場合、遊園地という表現は、楽しい場所、楽しませるサービスのある場所。
という意味になります。
では何をするかと言えば、辛いこと、苦しいことを学び取る場であると私は認識します。
いわゆる、子どものわがままが抑えられ、好むと好まざるとに関わらず、集団の論理で一日の物事が進む。
その実態を学ぶ場が、学校だと思うのです。
そして……その『集団の論理』というものも、先生たちの思惑で、いくらでも都合のいいように解釈され運用されます。
では……学校において、先生は絶対の権力を持った独裁君主なのか、といえばさにあらず。
子どもさんから見れば、それなりに大きな権力を持っているように見える先生も、実はややこしい大人のルールでがんじがらめにされています。
そういう……生きにくさ、過ごしにくさを体感する場所として、学校というものがある、と思うのです。
でも、これはあくまで私の意見。
所詮は一個人の一意見に過ぎないものです。
中には……
『そんなことはない。自分の学校生活は楽しかった、幸せだった』
という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、よく思い出してください。
『学校が楽しかった』
という、幸せな体験をした方は……
先生と話すのが楽しかった。
友だちと過ごす時間が楽しかった。
授業が面白かった。
ということで、巡り合わせが上手くいって,楽しく過ごせていたのかも知れません。
つまり、相性のいい友だちに出会えなかったり、子どものことを見てくれない先生が担任だったりすれば、
たちまち、楽しかったものも辛くなり、それまで見えていなかった、苦しい面が見えて来るでしょう。
遊園地というものは娯楽の場所です。
最初から、訪れた来客を楽しませる場所としてそこにありますが……
学校というのは、そうではありません。
学校の本分は、生きる力を身につける場であります。
学校が楽しいという子は…必ずしも学校という場所そのものが楽しいのではなくて……
あくまでも、先生、友だち、授業……といった
『繋がり』や『巡り合わせ』
が楽しいのです。
これは、学校そのものが場所として楽しい、というのとは違う……と、私は考えます。
学校生活を楽しめない子どもさんは、自分の力で校内に居場所を作り、気の合う友だちを増やし、どうしたら授業が面白くなるのか……
居心地の悪さを跳ね除けて、自分で考えていかねばなりません。
そういう経験こそ、大人になってからの、生きる力の……
大事な土台、人生の基礎になっていくものかもしれないのです。
もちろん、居心地の悪さが自分の限度を超えれば
『学校を休む』とか『学校に行かない』
ということも、選択肢に入れて構わないと思います。
『学校』という場所が地域にあることを通して
『そこから逃げる』
ということを学ぶのも、人生の危機管理という意味では大切な経験です。
逃げることを考えず、逃げ道を探さずに真正面から向き合えば……心を病んだり身を壊してしまうかも知れません。
難しい課題にぶち当たった時、先に進むか一旦休むか、はたまた、別の場所に移るのか……そういう判断力を身につけるのも『学校』という場所があればこそ……可能になる事だと思うのです。
『障害のある子をどの学校に通わせるか』
という話になってくると、
よく『障害児はいじめられる』とか『障害が理由になって授業に着いて行けない』
なんてことが話題になり
『だから特別支援学校、または支援学級が必要になる』
という結論になってしまいがちですが……
授業についていけない子なんて、普通校にいるような、障害のない子にも、実はたくさんいるものです。
であれば……いっそのこと、授業の遅れがあったとしても、障害児が普通校の、普通教室に通って悪いという道理がありません。
いじめというのも、あってはならない、あって欲しくない事ではありますが……
いじめや差別はどこにもあります。誰でも経験者になる可能性があります。
人間に思い込みや偏見がある限り、無くすことはできないものです。
そしてそれは、子どもの頃だけでなく大人になってからも、ずっとついて回ります。
であれば、小さなうちからこれに慣れておき、被害を最小にする対処法を身につけることも大切です。
もちろん、先に述べたように、一個人の努力や対処だけでどうにもならない場合には、登校を拒否したり、転校したりして居場所を変え、一からやり直すことも必要になるかと思います。
現状……私も含めて、世の中の大人は、若く小さな子どもさんたち世代のために、ほとんど何もできていません。
親や先生といった人たちも『子どものため』と言いつつ、自分のことしか考えない場合が多いです。だからこそ、過酷な環境の中で子どもさん自身が強くなっていく。
工夫しながら自分を守る手段を身につける必要があると考えます。
しかし、理想としては先に生まれた大人が、後から生まれた子どもさんのためにより良い社会を作る責任があるはずだと考えています。
事務局通信 Vol.88
西武鉄道株式会社は、訪日外国人観光客受け入れ体制の強化を目的に、翻訳対応透明ディスプレイ「VoiceBizⓇUCDisplay」の実証実験を2023年7月10日(月)より西武新宿駅にて開始したと報道がありました。(西武鉄道HPより抜粋https://www.seiburailway.jp/newsroom/news/20230705_honyaku/)
景気が低迷する日本ですが、コロナで一時的に減少した外国人観光客の受け入れを強化して国内消費に貢献する狙いということでしょう。インフォメーションの駅員と客の間に透明なパネルが設置され、それぞれの言語で話した内容がお互いの透明なパネル画面に翻訳されて写されるということです。現在は試験導入で、今秋あたりからの実施を目指しているということです。翻訳機能は商品として登場した最初は使えるレベルとは到底言えない状況でしたが、数年経った今ではかなりのレベルになっています。
AIの飛躍的な進歩もあり、ITの成長加速は目覚ましいものがあります。AIについては様々な考え、危険性も含めて議論があるところです。使う側の人間のモラルや思想性の影響から大きな災いにもなるでしょう。突き詰めればAIを手段として使用する人間の心のありように依るのでしょう。国際的にもそうしたAIの悪活用への規制を設けることが課題となっています。
しかし一方で人々の生活に貢献する可能性は大きいです。総務省は障害者団体などに対してAIやIoTの活用についてヒアリングを行ったり、様々な研究機関や団体が障害者からの視点から活用をすすめるべきと意見を発信しています。総務省ではスマートインクルージョン構想という事業を実施し石川県加賀市で試行されています。すべての人がインクルーシブな社会で生活できるようITなども含めて活用していく試みです。東京都のスマートシティ構想の一環で南大沢の試行事業で意見を八障連としても会員団体より声掛けをいただき参加しました。これもITを含めた街づくりの取り組みです。
以前からタブレットPCで点字をテキストデータで点字としてタブレット端末を通して表現したり、点字でうったメールをテキストデータで文字として相手に送ったりすることはできます。インターネットの情報を読むために音声ガイドや点字への変換は画期的です。また音声の文字お越しの機能も昔に比べると飛躍的に日常で活用できるレベルになっています。先日、zoomで文字お越し機能を使用しましたが、数年前ならアメバTVの文字お越し機能は誤訳ばかりでしたが(これも試行的な学習機能を搭載した試みかと思います)、今は無料で使用できる文字お越し機能でもかなりのレベルに達しています。ソフトバンクが映像に映った手話を文字に翻訳するサービスを試みています。AIに学習させて翻訳機能を向上させるためにユーザーの参加を集めています。(ソフトバンクのHP https://www.suretalk.mb.softbank.jp/HP )他にもこうした試みをしている企業はあるかと思います。
未曽有の高齢化社会を迎える日本ですが、人口が多い都市部の私たちの生活でもその影響がいよいよ顕著に表れています。運動の後継者、職員のなりての無さなど若い世代がいなく高齢化を迎えています。私が所属しているB型事業所など作業を行いますが、職員の高齢化が進む一方、重い荷物を持たないといけないことでの体の負担、故障ということが課題となっています。これについても、今は笑い話になるように見えても、重い荷物をもつ動作をサポートするロボットスーツなどを当たり前に使用する日常が目の先にあると思います。パラリンピックなどパラスポーツが八王子が盛んになってきていますが、AIをはじめITを活用した義足や脳神経に直結した身体フィジカルの活用が競技としてどこまで認められるのか、という線引きがもうすぐ課題になるかと思いますし、既にそうした取り組みがあると思います。
そういった意味ではAIの登場により、その影響を福祉の現場でも考えることが予想よりも遥かに早く対応を迫られている状況があると思います。
いつの世も制度の変化、価値観の変化を常に求められますが、「何のために」に営みが行われるのかということは根底にある一貫したテーマになるかと思います。そういった意味では障害当事者の視点を中心において街づくりを思考する試みは重要に思います。(文責:事務局 有賀)
通信本文はここまで。