八障連ブログ

八障連(八王子障害者団体連絡協議会)運営委員会より、情報提供を行っています。(「八障連について」カテゴリーを参照)

八障連通信388号

2022年12月22日 | 情報提供
八障連通信388号


事務局通信
衆議院で可決された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正す る法律」案が参議院本会議で12月10日に 可決されました。議案要旨については下記 となります。 (厚生労働委員会) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に 支援するための法律等の一部を改正する法 律案(閣法第一七号)(衆議院送付)要旨  本法律案は、障害者等の地域生活及び就 労を支援するための施策の強化により、障 害者等が希望する生活を営むことができる 社会を実現するため、所要の措置を講じよ うとするものであり、その主な内容は次の とおりである。 一、共同生活援助の支援内容に、居宅にお ける自立した日常生活への移行を希望する 入居者につき、当該日常生活への移行及び 移行後の定着に関する相談その他の主務省 令で定める援助を行うことを追加する。 二、市町村は、地域生活支援拠点等を整備 するものとし、基幹相談支援センター設置 に努めるものとする。 三、障害者の就労に関する適性等の評価等 の結果に基づき便宜を供与する「就労選択 支援」を創設する。公共職業安定所等は、 当該支援を受けた者に対して、当該結果を 参考に、職業指導等を行うものとする。 四、週所定労働時間が特に短い重度身体障 害者、重度知的障害者又は精神障害者を雇 用した場合の雇用率算定における特例を創 設する。 五、障害者雇用調整金及び報奨金の支給の 見直し及び対象障害者である労働者の職場 への適応を容易にするための措置に要する  費用等に充てるための助成金の支給を行う こととする。 六、精神科病院の管理者は、医療保護入院 について患者の家族等が同意又は不同意の 意思表示を行わない場合に、市町村長の同 意により医療保護入院を行うことができる ものとする。 七、都道府県は、市町村長の同意による医 療保護入院者等に対し、入院者訪問支援員 が、その者の求めに応じ、入院中の生活に 関する相談等の支援を行う事業を行うこと ができるものとする。 八、精神科病院における業務従事者による 障害者虐待を受けたと思われる精神障害者 を発見した者は、速やかに、これを都道府 県に通報しなければならないものとする。 九、指定難病の患者に係る特定医療費及び 小児慢性特定疾病児童等に係る医療費の支 給認定は、指定医が、病状の程度が厚生労 働大臣が定める程度であると診断した日等 に遡ってその効力を生ずるものとする。 十、都道府県は、指定難病にかかっている 旨等を書面等により証明する事業を行うよ う努めるものとする。 十一、匿名障害福祉等関連情報、匿名指定 難病関連情報等の利用又は提供の仕組みに ついて定める。 十二、この法律は、一部を除き、令和六年 四月一日から施行する。 (参議院ホームページより) 障害者権利条約の対日審査が行われ勧告が なされた中、障害者総合支援法、精神保健 福祉法、障害者雇用促進法、難病法、そし て児童福祉法を改正する「束ね法案」とし て、もっと審議を慎重に勧告の趣旨も反映 すべきとの批判や提言が各団体からありま   した。要旨の項目にもあげられている事柄 は様々な意見があるかと思います。難病や 児童についても当事者の方に現状の施策な どの問題提起を聞ける機会があればと思い ます。 参議院で付帯決議が出されていますが、精 神科医療の問題、新たに導入される就労選 択支援や国連の勧告についても触れられて おります。グループホームについては東京 都の精神障害者のグループホームは従来か ら通過型の携帯をとっており、定住型が後 から新設された流れがあります。グループ ホームではない住まいの  選択も出来た ほうが良いですし、選べるくらいの状況が 望ましいのですが、住まうための支援力が 施策としても現場レベルの力量、マンパワ ーとしても不足している部分もあります。 そういった意味では相談支援も含めて地域生活支援がもっともっと必要で、課題が山積している状況と思えます。参議院の付帯決議は本通信で同封をいたします。また参議院のホームページで閲覧できます。付帯決議一覧から厚生労働委員会の欄にリンクがあります。(事務局 有賀)

連載コラム  Vol.68 
『私を抜きにして、私の話をしないで』 八障連代表 杉浦 貢
以下に私がお話することは、どのような障害があるか……という障害の種別に関わらず、何らかの障害がある、という方であれば 、どなたにも少なからず、お身の上に覚え のあろうか……というお話だと思います。 どなたかの付き添いの人……ボランティア さんやヘルパーさん、または友人、知人、 ご家族などと一緒に、私のような障害者が 外に出かける場合に…… 障害のある本人……つまり当事者を抜きに して、駅員さんやバス・タクシーの運転手 さん、銀行や病院の受け付け窓口の人…… といった周りの人が、まず先に付き添いの 人と会話をしてしまい、障害者が話の中心 から外されてしまう。 というようなことは、私自身の日常にも、 よくあることなのです。  また、こうしたことは、 私以外の身近な事例なら、身体障害の仲間 内でも特に、言語障害のある仲間から、頻 繁に耳にする話であったりします。 喉の周りの筋肉が上手く動かない。唇や顎 関節、舌などを動かす筋肉が上手く動かな い、といった障害があると、発語や発声に 相当な困難が生じるわけですが…… 言語に障害がある=知的にも障害がある、 と言うように周りの人から誤認され、まと もに会話してもらえない。相手にしてもら えない。という場面がよくあるということ でした。 『杉浦は発語が綺麗だから羨ましい。言い たいことがちゃんと伝わる』 言語障害のある人から、そんなふうに言わ れることもありましたが 別段、言語に障害がなくても、すでに『心 身に障害がある』というだけで、 社会人として未成熟な存在としてみなされ 、一人前として扱われない。ということも あるようです。 これは私の事例ですが、 過日、杉浦が小学校で講話する、という時 の事でした。 学校に到着した私が、一生懸命、担任の先 生に話しかけてご挨拶しようとしているの に、先生が付き添いの支援者にばかり話し かけてかしこまってしまう…… ということがありました。 先生の認識からすると、講話をするのは健 常者に違いない…という先入観があるよう で…… さすがに、そんな様子に耐えかねた私が  『講話するのは自分なんです!』 と訴えても…… 「ああそうね。あなたも一緒にお話してく れるのね。頑張ってね」 と、まるで小さな子どもを相手にするかの ような扱いをされてしまったのでした。 支援者の方も…… 『付き添い人は僕です。今から話すのは、 こちらの杉浦さんなんです』 と、丁寧に説明してくれましたが、講話の 本番が始まるまで、どうしても信じてもら える雰囲気にはなりませんでした。 いざ講話が始まり…… 『みなさん。こんにちはー!』 と、私がいっちょうまえに子どもさんの前 で話すのを見て、先生はものすごく驚いて いました。 しっかり言語が通じる場合であっても、ま ず心が通じない。ということもあるようで 、『話せばわかる』なんて言う人もいます けど、あれはウソですね。 気持ちが通じなければ、いくら言葉をかけ ても、そのやり取りは虚しいだけです。 たとえ、知的障害や発達障害のある場合で あっても、 いいえ……障害があるかなしかに関係なく 、誰が相手の場合でも、人と人との対話、 交流の場面では、まず本人の意志を確認し 会話するということ。 人としての尊厳を大切にして、丁寧に他者 と向き合うことは、どんな時でも大切なこ とだと考えます。

 編集部より 八障連通信 388号をお届けいたします。ウクライナ侵攻その戦争の悲劇、影響は世界各地 に及んでいます。ロシア国民の不幸でもあり、ウクライナ国民にとっても不幸であると先月号で申し上げま した。わが国日本、国民の不幸は、敵基地反撃能力はじめ防衛費増額のために復興税の転用に所得税に上乗 せなど景気悪化の悪手に気づかない首脳をいただきし国民の不幸も増えてしまいました。どれだけ不幸を連 ねて重ねれば気が済むのでしょうか。 ◆現在、「霊感商法等対応ダイヤル」として旧統一協会問題とこの問題と同種の問題について、お悩み相談に 対応する電話窓口が開設されています。【電話番号:0120-005931(平日9時30分~17時)】(編集 部)

連載コラム B型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久
闘病史 その70
手が足りないので手伝ってと言われて始めた第三者評価の仕事は、2015年2月には8件も頼まれ、忙しくなった。火・金のテ ニス日はできるだけ外してもらうようにし、土・ 日のいずれかには高尾山に登った。テニスをやり 出してからは朝方の生活に変わっていたので、早 朝に起き出すことは何の問題もなかったが、立ち んぼのまま吊革にぶら下がって都心に向かうのは 辛い時もあった。試行錯誤して9割以上の確率で 座れる車両を見つけ出し、少し早目にホームに並 んだ。立ちんぼでの通勤と居眠りしながらの通勤 では身体の疲れが随分違ってくるので、始発駅に 近くて座りやすいことに感謝した。  都心での仕事が増えてくると、仕事先の場所に よっては帰りに銀座や新宿に点在する写真ギャラ リーをのぞくことができるし、絵画展やクラシッ クコンサートにも行きやすくなった。利用者調査 や訪問調査でかなり体力を使うこともあるので、 何事も身体と相談した上でのことだ。  年度が替わって4月に入ると第三者評価の仕事 は全くなくなり、テニス、ハイキング、パオとい う規則的な生活に戻った。その頃になって八王子 市の福祉センターにある高齢者対象の風呂に無料 で入れることに気づき、テニス後は汗を流してさ っぱりとしてからパオへ出勤するというのが慣例 になった。そうするようになって、それまではパ オのみなさんに汗臭い臭いを振りまいて迷惑をか けていたのだなあと気づき、反省した。  しばらくは体調の良さも続いて、快適な毎日を 送っていたが、6月に入って梅雨を迎えると体調 不良になり、テニスもハイキングにも行く体力も 気力もなくなったが、家でゴロゴロしてしまうと いうまでには至らなかった。パオには毎日出勤し た。私が朝からいる分、若い職員が休みを取りや すくなるのではと考えてのことであり、日頃お世 話になっていることへの恩返しのつもりでもあっ た。枯れ木も山の賑わいとなったろうか。  中旬近くなっても体調が回復しなかったが、4 月に中国旅行の申し込みをし、切れていたパスポ ートの更新も行っていたので、出かけることにし  た。九寨溝・黄龍・蛾眉山を巡る旅で以前より楽 しみにしていたものだ。イタリアの「青の洞窟」 など光の反射の具合で神秘的なまでの美しさを見 せる観光名所が数々あるが、私はまだひとつも訪 れたことがなかった。  は四川省北部のアバチベット族チャン族自治州 にある4000m級の山脈の深い渓谷にあり、手つか ずの自然が残る秘境なのだ。詳しくは旅行記にま とめたいと考えているが、湖面の透明度と妖しく 青く輝く美しさは言葉では言い尽くせないものが あった。自然保護のため30㎞にわたるという地区 内は低公害のグリーンバスが走り回っており、各 バス停で自由に乗降ができ、遊歩道もきちんと整 備されていて歩きやすかった。  黄龍は直ぐ近くにあるが、ロープウェイで 3,190mくらいまで一気に登るので、高山病に配 慮して、各自携帯酸素ボンベが配られた。ロープ ウェイを下りると、全域に整備された木製の遊歩 道を歩いて廻らなければならない。頂上駅からさ らに300mくらい登ったところに「五彩池」があ り、標高3,553mもある。ロープウェイを下りて しばらく歩くと突然肝臓が悲鳴をあげだした。肝 臓は沈黙の臓器と言われ、普通は肝臓の痛みを感 じることがないとされているが、今回は明らかに 肝臓そのものから発せられているように感じた。 これまで経験したことのないような異様な感触( 肝臓が膨張するような)を伴うかすかな痛みが肝 臓の方から突き上げてきた。 思わず手を肝臓の上に当てた。掌をあて腹部を温 かくすると血流が増し、腹部の痛みが治まること が多い。しばらく歩道脇のベンチに腰掛けて軽く 手当てを施した。高山病的な異変が肝臓に起こっ ているのかなと考えて、ゆっくりと腹式呼吸をし ながら静かにしていると痛みも不快感もなくなっ た。再びゆっくりと登り始めた。  黄龍には、九寨溝では見られない景観(湖の色 の違いや滝があり、段丘を流れ下る風景など)が あり、これも感動ものだった。咲いている花も多 く、高山植物特有の美しさがあった。どちらも日 本では見られない風景で、良い冥土へのお土産が できた。

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