八障連ブログ

八障連(八王子障害者団体連絡協議会)運営委員会より、情報提供を行っています。(「八障連について」カテゴリーを参照)

八障連通信358号です。

2022年09月22日 | 情報提供
八障連通信358号です。

連載コラム  Vol.66  路線バス利用事情  八障連代表 杉浦 貢
公共交通機関はいくつか種類がありますが、近年、鉄道のバリアフリー化が進んでいることと比べた場合、バスの方はそれより一歩か二歩ほど遅れて いるような印象があります。 私も、あちこちで講演、講話をお引き受けするようになっ てからは… 電動車いすに乗った状態で、八王子市の内外の移動に、路 線バスをよく利用しますが…… その際、あからさまに乗車無視(バス停で待っている私のこ とを、最初から見えていないふりをする) また、乗車拒否、というところまではいかないものの、バ ス乗務員から不快な対応を受ける。…などということは、 いまだによくあります。ですから、『路線バスを使う予定 がある』ということがわかっている場合には、本来乗る予 定のバスの時間より、いくらか余裕を持つようにして… 多少のトラブルが起きても、目的地に着く時間には支障が 出ないように…と気をつけています。 乗車拒否などという最悪のことは、もちろんあってはなら ない。して欲しくない。という前提は動きませんが、今回 は、障害当事者としての視点を切り替え、あえてバスの乗 務員さんの立場から考えてみたいと思いました。 路線バスの乗務員…運転手さんは、日々いろんなものに追 い立てられながら働いているんだと思います。 先に述べたように、私自身も車いすでバスに乗る機会が多 く、そのたびに目にすることなのですが、 ①車いす用の乗降スロープを出す。 ②座席を折りたたんで車いす用スペースを作る。 ③ベルトで車いすを固定する。 これは、短い停車時間で行うにはかなり難のある作業です 。 乗務員さんはこれを一人でこなさねばならず、さらにバス に乗っている他のお客さんもお待たせすることになります 。一カ所のバス停での数分の遅延が、先々の数十分の遅れ に繋がることにもなるでしょう。そうなれば、他のバス停 でも「なぜ遅れた!」なんて文句を言われることもあるかと思 います。 「発車時刻の都合でお乗せできません」と言われることは私 もよくありますし、あとからくる次のバスを待つこともし ばしばです。 口頭で、丁寧にお断りがあればいいのですが…たまには完 全に無視され、無言のままに拒絶されたり… 『乗れねえよ‼️』と怒鳴られてしまった、なんてこともあ ります。 あれ❓こういうのを乗車拒否って言うんだっけか… これは、乗務員さん個人の仕事ぶりがどうこう…というよ りも… そもそも「たった一人の乗務員さんが、バス車内のあらゆ  る事を切り盛りしなければならない」という、現行の路線 バスの運 行システムそのものに、大きな課題があると感じます。  路線バスには、私のような車いすユーザーだけでなく、自 力での移動に困難を感じる様々な人々が乗ってきます。お 年寄りやベビーカーを使う赤ちゃん連れの親子さん…朝夕 の混雑時には、増える乗客の数そのものが、乗務員さんの 負担になる事でしょう。 乗車拒否は容認されてはならないし、して欲しくないこと ではありますが… ただでさえ多忙な乗務員さんが「車いすの客=面倒くさい 、乗せたくない」と考えてしまうとしても、今のままでは 無理はないのかもしれません。多くの場合、障害のある利 用者は『何よりも目的地に円滑に移動する』ということを 第1優先に考えるようにするしまうため、バスの乗務員さ んの対応が多少が悪くても、そのことにいちいち抗議して 、営業所に苦情を入れるまでに至らない…ということも、 ままあるのではないでしょうか…… それでも、車いすの固定などバスそのものの安全な運行に 関わるルールだけは、絶対に徹底するようにお願いしてい ます。 繰り返しになりますが、 バスの乗務員さんの対応が悪くなる一番の原因は、まず『 ワンマン化』にあると考えています。 結果、暴言や不適切対応の原因を作ると杉浦は考えていま す。 バス事業者のサービスセンターに苦情を申し立てても、 『善処します。申し訳ありません』 といった、当たり障り のない言葉で片付けられてしまうので…… 根本的にバス事業者の方針そのものが変わり、乗務員の業 務体制が変わっていかない限り、なかなか課題は減らない と思っています。 最後に、余談です。 これは私が個人的に考えるバスの未来像なので、現状まだ まだ夢物語に過ぎないものですが… 将来的には、原則として、路線バスを人工知能による自動 運転(レベル3相当)に切り替えた上で、 自動運転に不具合が生じたときに対応できる運転手さんに 加え、運転手の業務を補佐する「車掌さん」を復活させて欲 しいのです。 そうすれば、多様化するお客さんの路線バスに対する利用 ニーズに応え、かつ乗務員さん一人当たりの負担も、今よ りは多少軽減できると思うのです。 全国のバス事業者さん。いかがでしょうか?

障害者専用ジム にしはちスポーツジムさんのご紹介
以前にも通信でご紹介しましたが、2020年11月1  日に西八王子駅南口からバス通りを直進したところにあ るスーパーアルプス2階のショッピングモールに障害者 専用スポーツジム「にしはちスポーツジム」が開設され ました。八障連でも、この新しい取り組みをzoomによ る団体紹介として企画を致しました。(後にYouTubeで も配信)  特徴的なのは個人利用は夕方からの時間帯及び休日で 、平日日中の時間帯は障害者支援の事業所の団体利用枠 を設けているところです。これにより、場所こそ移動と なりますが、慣れた利用者、慣れた職員などの支援者と 一緒に運動に取り組むことができます。もちろん、ジム のスタッフさんがトレーナーとして対応してくれます。  私が所属している社会福祉法人マインドはちおうじで も団体枠を利用して、利用者さんが毎週ジムを利用をさ れています。10人前後から多いときは20人近い方の利 用があります。職員は1名同行しますが、受付からプロ グラムまですべてジムスタッフさんが対応をしてくれま す。  入り口で検温、手指消毒など行い受付を終えると、奥 にあるラウンジでロッカーに荷物を入れて更衣室で着替 えることができます(初めから着替えてくる方も OK)。その後の血圧、体重測定をします。まず最初に ラジオ体操を行います。動画モニターを見ながら行うの で慣れていない方も体操の仕方を動画で見本を見ながら 行えます。なんと第1から第3まで網羅。しかも方言編が 多数あり毎回楽しみながら行えます。  その後はストレッチをして、トレーニング器具で運動 します。トレーニング器具の利用の仕方はカーブスの方 法を取り入れており、器具自体は高齢者用のものを用い てます。サークル状に置かれた器具を1分間ずつ足踏み  と交互に行っていきます。これがなかなか有酸素運動が 伴い、程よ いペースでありながら、しっかり運動できます。器具は 一つ一つ異なる筋力トレーニングの仕様になっており、 負荷(=重さ)レベルも1~10まで選択できます。私 の法人ではレベル1で行っていますが、負荷が軽くても スピードを速めることで、かなりの運動量になります 。10種類程度の器具をインターバルとなる足踏みも入れ ながら交互に行うので最後はかなり息も上がりますが、 無理のないほど良い運動負荷に感じます。利用者さんは  このサーキットをいつも2周行います。  サーキットが終了すると自由時間で、引き続き器具を 利用した筋力トレーニング、箱根駅伝を模様したウオー キング、危険がないように上ではなく横に移動するスポ ーツクライミング、トランポリンなど、好みのプログラ ムを利用して過ごせます。個人的にはトランポリンの運 動量は想像以上で、ただ飛んでいるだけで数分でふくら はぎがパンパンになりました。ぜひ経験してほしいです 。  最後は疲れた体をほぐすためストレッチをゆっくり行 って終了となります。私の法人は準備も含めて13時から 15時までの枠を利用させていただいております。事業所 内でも運動プログラムなど行っていますが、施設外のジ ムという整った施設、専門のトレーナーさんがいる環境 があることは一味も二味も違いを感じています。利用者 さんにとっても、施設内のプログラムの一つということ よりも福利厚生的な側面ともとらえることができます。 一般的に多いスポーツジムはプログラムも用意されてい ますが、器具など自分勝手に使用する形が多いと思いま すし、そうしたスタイルを望む場合は自由度が低く感じ る場合があるかもしれませんが、逆にストレッチを必ず 行うなど専門スタッフの指導があり、安心して利用でき る環境と言えます。      特筆すべきは、私の法人では記述した内容で利用させて  いただいておりますが、障害や事業所のカラーによって 利用の仕方を柔軟に受け入れてくれます。こんな形で利 用したいという希望をトレーニングをする利用者さんが 危険にならない限り沿って考えていただけます。私の法 人も通所は4事業所ありますが、法人として契約してい ただき各事業所の利用者さんが自由に利用させていただ いております。この点だけでもすごいですが、今ならま だ日中の事業所枠に若干の空があるようです。  にしはちスポーツジムさんは今年度から八障連の会員 となりました。今後も障害当事者の生活、健康への貢献 をともにしていきたいと思います。敷いてはそれが誰も が住みやすいまちづくりにつながると考えます。八障連 としても2年前から福祉フォーラムでブラインドサッカ ーをテーマにした企画を準備していましたが新型コロナ ウイルスの流行により延期が続いておりました。今年度 は他の障害者スポーツに取り組んでいる団体にもご協力 いただいて福祉フォーラム開催に向けて準備を進めてお ります。また会員団体である八王子セブンクラブさんが 精神障害者バレーボール全国大会出場を果たしておりま す。皆で応援したいですし、経過についてはご報告いた だく予定です。まだまだコロナの影響は油断できない状 況が続ていおりますが、会員団体に置かれましても油断 せずに活動を継続して、障害当事者の方々の健康で文化 的な生活への追求を引き続きお願い致します。(事務局  有賀)

連載コラム B型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久
その67
私は小さい頃より運動することは好きだったが、病 気がちだったために何かに打ち込んでやり続けるとい うことはなかった。運動するというよりも、じっとし ておれなくて動き回っていたという方が正しいかもし れない。今でいうところの「ADHD(注意欠陥多動症 )」の傾向が強かったとも感じる。運動という意味で は、敗戦後の貧乏な時代にどこかへ習いに行くという ことも考えられなかった。 小学校の何年生くらいからだろう、近所の子供たち とソフトボールを毎日のようにやっていた。時に大人 たちが相手をしてくれ、子供や大人が混じり合って2 チームに分かれて試合もよくした。 学校という制度の中で2度運動系のクラブに所属し たことがある。1度目は中学2年生の時の野球部。野球 が好きで小さい頃はソフトボールを毎日のようにやっ ていたので、本格的にやってみようかと思ったのだが 、不良に絡まれてすぐに辞めた。2度目は高校での硬 式テニス部だが、病気のために半月も続けられず、辞 めざるを得なかった。 体育会系の上下関係に耐えられないと感じていたの で、大学に入っても緩やかなサークルにすら所属しな かった。というよりそんなゆとりがなかったとも言え る。武道系以外のスポーツは大体好きだし、何でもそ れなりにこなせる。ただどれもが我流なので、きちん とした基礎ができておらず、上級者にはなれないまま でいる。夏は海で泳ぎ、冬は山でスキーをしていた一 時期は年中真っ黒だった。 何事も基礎だけはプロにきちんと指導してもらうこ とが大切だとこの歳になってつくづく感じている。基 礎的な訓練への投資は長い目で見るとあらゆる意味で リーズナブルだ。スポーツだけに限らず、何事におい ても上手になるほど面白さを人一倍感じることができ るし、楽しく長くやり続けられる。「下手の横好き」 という諺は好きじゃない。下手だとどうしても気持ち が乗らず、萎えてしまい、続かないのだ。団体競技で あればあるほど、仲間に迷惑をかけることになるので 、そういう傾向ははっきりと出る。金がないから、時 間がないからという言い訳をして、スクールなどへ通 わなかったことを年老いてから悔いた。もし彼岸の世 界があるのであれば、まずは何事もスクールへ通って 基礎をしっかり身につけようと考えるこの頃である。 そもそも発達障害を持つ壮年男性の付き添いとして  通い始めたテニスクラブだったから、何の準備も勉強 もしないで行った。点数の数え方も分からなければ、 いろんな用語も全く知らずに試合に出るのだから、い い加減なものだ。ダブルスを組む相方から専門的な用 語を使って何かを言われても分からないまま、流れに 任せて動いていたので、迷惑を掛け続  けていたのだ。怒鳴られることも何度かあり、テニス に対するイメージが極端に悪くなった。いや、悪いの はテニスに望む態度がなっていない私なのだが、彼の 通う事業所を私が辞める前に、彼の行き場を見つけら れたことで取りあえずひと安心できた。 7月末でその事業所を辞めると、私の勤務は自分の 事業所だけになった。設立者とは言え、財政的なゆと りがなく、設立当初から出稼ぎを続けていたので、事 業所ではずっと非常勤だった。出稼ぎ先がなくなって いけば、本来は自由時間が増えるのだが、家に籠って しまわないように毎日出勤することにした。常勤の人 たちのお助けマンを買って出た積りだったが、実際は 足を引っ張ることになっていたかもしれない。 通所しているメンバーたちは全員が精神科の薬を飲 んでいる。中にはマイナ―トランキライザー(軽い精 神安定剤)だけの人もいるが、ほとんどの人がメジャ ートランキライザー(強い精神安定剤)を飲んでいる 。それらの多くは行動を抑制するという作用を持つが 故に、朝起きるのが結構大変なのだ。だから事業所の 朝は、場合によって職員だけのこともある。そんな事 情もあり、常勤の職員がほぼ複数体勢で出勤している ので、午前中は比較的自由がきいた。 付き添い以外の日にクラブに顔を出してみると、週 2回レッスン組という枠があり、2時間だけコーチが指 導して下さることを知り、すぐにそちらの組に入れて もらった。そうして基礎からきちんと鍛えてもらった 。コーチとの相性が良かったのか、それなりに腕が上 がり始め、すっかりテニスのとりこになってしまった 。65歳にして初めて手に入れたテニスという趣味。プ ロと違って一般のテニスの楽しみ方はダブルスの試合 である。組み合わせが試合毎に替わるので、誰とプレ ーができるかで面白さや楽しさが違ってくる。初めの 頃に怒鳴られた意味が少しは分かるようになった。

最新の画像もっと見る