神は見返りを求める 2022年 吉田恵輔監督作品
これまで様々な感想を書いてきたが、
これからは定期的に映画のレビューを書けたら
いいなと思っている。
この「神は見返りを求める」は
男女の愛憎と動画配信にこだわり、人生を台無しにするストーリーである。
最初はただ単に動画を作る規模は小さく、あくまで楽しく男女が協力しながら撮影していく話で簡単に見える。
しかし、ある時、主人公の男性側の会社の同僚と主人公の相手の女性が知り合うことから話は急展開する。
同僚に紹介された少し名がある動画配信者の男性コンビとコラボし、またクリエイティブなデザイナーと女性は親密になり、やがて主人公と相反していく。
当初、女性はセンスがなく、また動画も評価されることがないごくありきたりの女性なのだが、デザイナーとコンビをくみ、再生数もあがり、知られていく。
その後主人公と女性はお互いにバッシング合戦を動画上で繰り返し、やがて主人公も世間に知られ、あくまで悪い存在として認識されていく。
私は男女の思いは、ある程度、うまくいっているうちはとても心地よいものだと思う。
こういうお互いのすれ違いで、複雑でまた目指すところがズレを生じるとやはり憎さが先行するのだと知った。
またあまりにも動画配信にこだわり、本末転倒の感は否めない。
要は人にとってなにが大事でなにを犠牲にするかである。
この映画で再三、動画配信者(少し知られたコンビ)の仲間がパーティーをしているシーンが登場するが、これはそういうことを暗に批判しているのだと感じた。
主人公と相手の女性は心の底では思いがあるのだと感じた。
ただあまりにエスカレートした感情と徐々に大事なことからかけ離れた状況から抜け出そうとしていたものの、悲劇的な結末はこの現代社会を痛切に批判しているのではと思う。
見ていて演じたムロツヨシさん、岸井ゆきのさんの好演が光る。
人間の悲哀と大切なことは何かを訴えた作品ではないかと心に刻んだ。
2025.01.12. copyright: GoodMorning Co.LTD.