母親の夢を見た。1人暮らしのときはよく家族の夢を見たものだが、今は実家で暮らしている。夢の中の自分は、なぜか常に不安を感じていた。それは起きた後も、ずっと続いた。
シャワーを浴び、郵便局へ出かけた。これはよくあることなのだが、外を歩いていても、なぜ自分がそれをしているのかがわからなかった。他人のようだった。目に映る景色はぼんやりと薄れていて、どこにも焦点が合わなかった。しかし暑さだけははっきりと感じた。今日はサウナにいるみたいに暑い。綿のTシャツには汗が次々と染み込んでいた。
用事を済ませ、家に帰った。部屋着に着替え、一服しようと思った。自分の部屋の窓を開け外に出る。セミがうるさく鳴いていた。でもそれが彼らの仕事だ、と思って、自分を納得させた。部屋から1つ下った足場に座ってたばこを吸っていると、1匹の蟻が見えた。なにか用事があるのだろう。蟻はせわしなく動いていた。その間も、自分の中の不安はなくならなかった。曇天の空が自分を圧迫しているような気がした。狭い気がした。苦しかった。地球の外へ出れば、これから逃れられるのだろうか。でも、そんな気がないこともわかっていたんだ。