日記

適当に書きたいときだけ書いてます。

ルール

2021-08-10 17:51:13 | 日記

青年の前に1人の老人がいた。青年と老人の間には1つのコインが落ちていた。老人は訊いた。

「そのコインの表はどっちかな?」

青年はコインを手に取り、探るように見つめた。コインには見たこともない絵柄が描かれていた。青年は言った。

「わかりません」

すると老人は、老人らしい笑い声をあげながらこう言った。

「ワシにもわからんわい。しかしそれはどうでもいいことじゃ」

青年は怪訝そうな顔をした。そして訝しがりながら、老人に訊いた。

「しかし、表と裏がわからないのは困りませんか?」

老人は少し驚いた顔をした。

「なぜじゃ?」

「だって、呼ぶときとか困るし、気になるじゃないですか」

すると、老人は少し微笑みながらこう言った。

「それはワシが作ったコインじゃ。しかしどっちが表かは決めとらん。どうでもいいと思ったからじゃ。しかし、君にとってはそうじゃなかったみたいじゃな」

青年は少しやりきれない思いを抱いた。それと同じくらい、納得感も感じていた。


時間

2021-08-10 16:00:33 | 日記

高校時代、Yくんという人がいた。彼はいつも死んだような目をしていた。勉強も部活もやらず、ただ腐ったように生きていた。Yくんの学校での唯一の楽しみは、性だった。階段の下から女子のスカートを覗いたり、女子トイレに入って個室を覗いたり。また、クラスの女子をオカズに家で自慰をすることだったり。Yくんは性に支配されていた。しかし、恋愛に踏み出すことはなかった。

Yくんは歳をとり、そのときのことを思い出していた。そして少なからず、後悔した。普通の恋愛をしたかった、と。Yくんは彼女ができたこともあったが、高校生という限られた時間を無駄にしたことを自分でも許せなかった。Yくんは時間が戻ってほしいと祈った。しかし、それが実現することはなかった。あるのはただ、先の見えないトンネルだけだった。