インドの流儀2

今はここにいます。

コーヒ茶碗

2008年09月19日 | 

二人がのんだコーヒ茶碗が
小さい卓のうへにのせきれない。
友と、僕とは
その卓に向かいあふ。

友も、僕も、しゃべらない。
人生について、詩について、
もうさんざん話したあとだ。
しゃべることのつきぬたのしさ。

夕だらうと夜更けだらうと
僕らは、一向にかまはない。
友は壁の絵ビラをながめ
僕は旅のおもひにふける。

人が幸福とよべる時間は
こんなかんばしい空虚のことだ。
コーヒが肌から、シャツに
黄ろくしみでるといふ友は
「もう一杯づつ
 熱いのをください」と
こっちをみている娘さんに
二本の指を立ててみせた。
                 金子光晴



写真の喫茶店はコーヒーカップ、大中小が選べます。
いつも、中カップをオーダーしますが片手で飲めないくらい重く
飲んだ後はいつも満腹。
コーヒーは二杯目を注文したくなるくらいの小ぶりのカップで飲むのが
通かもしれませんね。

詩は大好きな金子光晴の「山之口獏君に」。