一応あぁちゃん病状memo

ありの儘様々な症状記録を読んで下さり感謝

おたまじゃくし?

2016年06月21日 | 症状関連記事

 読んであげて  毎日新聞2016年6月9日 大阪朝刊より引用

ぶん・安田夏菜(やすだ・かな) 絵・中西なかにしらつ子

 <おたまじゃくし?>

               

「おお、おまえ、なんで人間語にんげんごをしゃべってんねん!」

 驚おどろいて、口くちをあわあわさせている定吉さだきち

 池いけのカエルや木の上うえのスズメが鳴く声こえは、ケロケロチュンチュン、ふつうに聞こえます。けれど、おたまじゃくしの声こえだけは、人間にんげんの言葉ことばのように聞こえるのです。

「いえ、わては人間語にんげんごなんてしゃべってまへんで。あんた、さっき、そこでころんでゴンと頭あたまを打ちましたやろ。その拍子ひょうしに、わてと『気』が通つうじて、言葉ことばがわかるようになったんとちがいますか」

「そんなことが、あんのかいな。びっくりやな」

「まあ、これもなにかの縁えんですやろなあ。それにわて、あんたに言いたいことがおましたから、ちょうどよかったですわ」

「なんやねん」

 すると、おたまじゃくしが大おおきな声こえで言いました。

「あんた、さっきわてのこと、ただのおたまじゃくしと言いましたやろ」

「ああ、言うたで。わては、めずらしい生きものを探さがしてるんや。どこにでもいる、めずらしくもないおたまじゃくしなんかに、用ようはないわい」

「今いま、めちゃくちゃムッとしましたわ。あんたかて、どこにでもいる、めずらしくもない、ただの丁稚でっちどんとちがいますのんか?」

 定吉さだきちは、ぐっと言葉ことばにつまりました。

「……えらい口くちのまわる、おたまじゃくしやな。たしかにわては、ただの丁稚でっちやけどな。いちおうは人間にんげんや。おたまじゃくしなんか、大おおきくなっても、ただのカエルやないか」

「ふふん、それは考かんがえちがいをしているね」

「な、なんやねん。その自信じしんまんまんな態度たいどは」

「あんた、わてをカエルの子と思おもうてる。それが大おおきなまちがいですわ」

「アホなこというな。おたまじゃくしはカエルの子って、昔むかしっから決まってるわ」

「ハハハ、子どものくせに頭あたまが固かたいでんなあ。最初さいしょっから、こう、と決めつけてるから、ほんまのことが見えませんのや。なにをかくそう、わては、おたまじゃくしとちがいまっせ」

「えっ、ほんならいったい、なんやねん?」


 ニュースサイトでも読めます   http://mainichi.jp/feature/yonde/


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月の花嫁 ふたつの糸の物語 | トップ | 中学時代の事故で後遺症 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

症状関連記事」カテゴリの最新記事