平方録

ちょっと妖気が足りなかったかな

ただならぬ気配に気が付いて目が覚めるというのは極たまにあるものだが、今朝はその〝極たま〟に出会って起こされた朝だった。

種明かしをすればなぁ~んだ、ということになるだろうが、正体はスーパームーンである。
寝室の南側のガラス戸にはシャッターがあるので夜になれば降ろして外の光を遮断するが、西側には縦長の細い窓が3つ等間隔で並んでいて、そこにはブラインドしかないので、羽根板の隙間を通して外の光が飛び込んでくる。
午前4時少し前にスーパームーンが送って寄越した光の束はちょうどボクの枕もとに差し込み、その強い光のただならぬ気配を感じたという訳なのだ。
それも部屋全体に明るさが届くというのではなくて、他に光のない真っ暗な寝室でスポットライトを一点に当てたようにボクの枕元だけを明るくしているのだから不思議な光景でもあった。

こういうのを言葉で言い表すとすれば幻想的とでもいうんだろうか。それとも神秘的って言ったほうがいいか?
う~ん、どちらもちょっと違うような気がするなぁ。
狼男や吸血鬼にエネルギーを与えるような狂気を伴った妖気のようなものか。
妖気と言えば、月明かりの晩の城下町の町外れで妖刀をひっ下げた侍が、たまたま通りがかった町人に切り付け「今宵の小鉄は血に飢えておる フフフッ」なんてセリフを吐きながら満足そうに刀に着いた血のリを懐紙で拭う場面なんてのも、小説や講談の世界の話なんだろうが、それはそれで月明かりなしには成り立たない物語なのだ。

月の光は生きとし生けるものを狂わす。ボクも狂おうか。おお怖っ……

幸いにしてというべきか、はたまた不幸にしてというべきか、雨が止んだばかりの今朝はまだ地上付近がガスっていて、月光に付きまとう妖しさも幾分かは減っているような。
「フフフッ」というセリフは、今朝のところは必要ないようである。

スーパームーンに呼び覚まされて目覚めた後、パソコンに向かっていると南側のガラス戸の向こうの南南東の低い空に金星が光り出した。
東の空じゃないけれど明けの明星って呼んでもいいんだろう、多分。
金星の右上の方角には木星が光っている。
そして金星のすぐ左下付近に冥王星が接近しているはずなのだが、薄いガスが漂っているせいか肉眼では見えない。

ベランダに出て目を凝らして見るが、やっぱり見えない。
嬉しいのは、ベランダに出てみてもそれほど寒さを感じないことだ。
今日は20度近くまで気温が上がるという予報がでている。
そろそろ初音が届いてもいいんだがなぁ。



近所の公園の池に続く湿地では早春から新緑を芽吹かせる灌木の枝先の色がほんのり変化し始めているように見える


ナノハナが咲き


尾根道の日当たりの良い場所には名前も知らない花が咲いている=いずれも鎌倉・広町緑地
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