日本語に訳すと「技術的特異点」と言い、人類の進化曲線が無限大になるポイント、そういう現象のことだそうである。
早い話が今の時代、我々は手のひらに携帯用のパソコンを乗せていとも簡単に操っているが、コンピューターが発明されたころの装置の大きさは、今のパソコンよりずっと劣る能力・性能しか備えていなかったのに、体育館一つ分くらいのスペースを必要としていた。
それがあれよあれよという間に、性能は飛躍的に向上し、しかも手のひらサイズにまで縮んだというわけである。
もっともスーパーコンピューターなるものは別格で、それこそビル一つ分くらいの膨大なスペースを必要としているが、それはそれで用途と目的が違うからである。
で話を戻すと、我々が普段使っているコンピューターひとつとっても、その進歩の度合いはすさまじく、現在もその進歩はとどまるどころか、どんどん進化を続けていて、今やあの業界では2年経てば技術は完全に革新されてしまうほどなんだそうである。
確かに、ボクは37歳の時に50万円もの大枚をはたいて、そのころようやく普及が始まった個人ユースのコンピューターの中でNECの98型コンピューターを手に入れたのを思い出した。
1985年のことである。
大きな投資をしたにもかかわらず、身近にコンピューターを使いこなしている人もいなかったので、思うように使いこなせず、文章を書き印刷する機能を随分と重宝なものだと思って満足したくらいだった。
これは単にボクの進化曲線が石器時代辺りをさまよっていたからである。
だから単なるワープロとしてしか使いこなせなかったが、その1、2年くらい後から値段の安い簡便なワープロという、文章作成に特化した機械が売りに出され、これは大変な普及ぶりを示したものだが、それもまたすたれて今ではコンピューターのありふれた機能の一つになってしまっている。
進化曲線が無限大になるというのはどういうことなのか。
体育館一つ分のスペースを必要とした装置が手のひらに乗るサイズに縮んでいくように、技術の進歩は最初は緩やかなカーブを描いて上昇していくのだが、ある一定の段階を迎えるとカーブではなく、曲線は垂直に立ち上がってぐんぐん上方に延びていくんだそうである。
2倍4倍8倍16倍32倍……と倍々ゲームで増えて行っていたものが、いきなり1000倍2000倍、10000倍などと信じられない増え方をする地点があるんだそうだ。
それを技術的特異点=シンギュラリティ―というのである。
したがって、技術的特異点というものはあらゆる分野に現れるわけだが、医療や生命科学の分野に関していえば、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授のips細胞の研究成果は今や次々に先端医療の分野に生かされている。
それに加えて、ゲノム編集などと言う遺伝子の研究もものすごい速さで進んでいて、がんを作り出している遺伝子を探し出し、その遺伝子を元の正常なものに戻してしまうようなことも可能なんだそうである。
その研究・開発速度は耳を疑うもので、あと5年もすればがんは完治できるようになるというのである。
つまり、ゲノム編集という研究分野では技術的特異点が近づきつつあるということのようなのだ。
だから老化の原因となる遺伝子さえつき止められればシンギュラリティーによって老化を防ぎ、不老不死を獲得する時代だってやってくるかもしれないということである。
ま、その時は別の様々な問題に突き当たることだろうが、理論的には可能になってくるはずである。
にわかに信じがたいことだが、現実にコンピューターやインターネットを補助道具として使っている人類は、「既に生物学的限界をテクノロジーで超えている」ということなんだそうである。
確かにその通りで、分からないことはインターネットで調べればすぐに分かるし、コンピューターを使えば人間の頭では考えつかないようなことにも答えが見つかる可能性はある。ひと月もふた月もかかるような計算では瞬時に答えを出す。
そういう手助けの元で限界を超えて生きているのだという指摘は、なるほどとうなずくしかない。
これからの時代の人類は人工知能(AI)と合体してもっとすごい進化を遂げていくことになるというのである。
それが良いか悪いかということは別の問題として、シンギュラリティーとか技術的特異点というものが生み出すものがどんなものなのか、大いに興味がある。
人類はこれまでと全く違った世界を生きることになるのかもしれない。
今日はボクの60代最後の誕生日だ。ボクにも影響は及んでくるのだろうか。
わが家の「空蝉」の3番花。上は4輪が1度に開いたところ。茶色の華なのだが、3番か花ともなると茶色が抜けてピンクが目立つのが不思議。
つるバラのローゼンタール・シュパリース・ホープの2番花。やや小ぶり。
バーガンディー・アイスバーグの3番花。すでに散り際のようだ。
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