そこで、60代とのお別れパーティーも兼ねて寿司でも食べに行こうよと誘ったら、ポルトガル料理がいいというので駅前まで出かけてきた。
てんぷらやカステラ、金平糖を日本にもたらしたのは16世紀のポルトガル人らしい。
しかし、同じ南ヨーロッパのスペイン、フランス、イタリアの料理はすぐ思い浮かぶし、横浜にはギリシャ料理店もいくつかあるというのに、同じような緯度に位置しながら地中海に面していないというだけで、この国の料理はほとんどなじみがない。
いったいどんなものなのか。
予約して6時半に行ったのだが、すでに一組の客がいて、その後次々に席は埋まり、あっという間に満席になってしまった。
小さな店とはいえ、大した人気である。
女性客が6割から7割を占める。それも若い。
この時代、若い女性にひいきにされる業態や味はすぐにSNSやインスタグラムなどと言うツールを使って好感度が拡散するから侮れない。
実は妻が寿司を蹴ってポルトガル料理を選択したのは新聞に紹介されていたのを読んだからだが、それもこれも、そういう若い女性たちの嗅覚の鋭さが新聞にまで及ぶ所となったのかもしれない。
そんなわけでジジイとババアも人気店の客となったわけである。
ブラジルには行ったことがあり、ブラジル料理というものも口にしたことはあるが、宗主国の土を踏んだことはない。
したがってどんな味なのか見当もつかないが、興味はわく。
夜なのでコース料理があるかと思ったが、コースはなく1品料理からの選択である。
ボクはちょっとしゃれたつまみにワインがあれば満足する方なので、特にどんな料理でもいいので、妻に任せた。
おいしかったのは鍋料理の「魚介のカタプラーナ」。
カタプラーナというのは銅製の鍋のことだそうで、鍋にエビ、サワラ、タラ、アサリなどの魚介を放り込み、トマトで煮込んだ上にコリアンダーを散らして出てきた。
ブイヤベースのようなもので、特に魚介の味の染み出たスープはとてもおいしかった。
魚介の味の染み出たスープ料理がおいしいのは万国共通だろうが、この選択は大正解。
最初の飲み物に「緑のワイン」を試してみたが、これは白ワインのことで、ワインを注いだグラスを透かして見ると確かに薄く緑がかって見える。
ポルトガルならではらしいが、おいしいワインだった。
これは1杯だけにしておいて、赤ワインのボトルを1本頼んだが、これもなじみのない銘柄だが、タンニンがちょっぴり効いていて、ボクの口に合ったので、ワインに関しては合格点が付けられる。
妻はおいしいと言ったがボクの口にはちょっと、と感じたのが「豚肉とアサリのアレンテージョ風」という一皿。
アレンテージョとはこの料理が誕生した地方の名前だそうで、ポルトガル料理によく使われるパプリカペーストに豚肉をつけ込んでアサリと一緒に炒めたものだそうある。でもボクには豚肉の味がどうにも合わなかったのは残念で、一緒に入っていたジャガイモとアサリだけを突っついた。
不思議なことだが、豚肉以外の味はなかなか良かったのはアサリとパプリカペーストなるもののおかげなのだろうか。
妻は締めにご飯料理でもと思ったらしいが、ボクは結構と言ったので注文しなかったが、試しにとってみればよかったかとチョッピリ後悔している。
ま、いずれにしてもポルトガルという国には惹かれるものがあり、1度本場で味わってみたいものである。
そういう気持ちが募ったようである。
「魚介のカタプラーナ」
「豚肉とアサリのアンテレージョ風」。豚肉以外は口に合ったが、見た目の色合いは今一つだ
タンニンの効いた赤ワインだった
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