折り紙などを使って丁寧に作られていたので、洗濯機の中で激しい渦に十数分間ももみくちゃにされ、原形をとどめないくらいにくちゃくちゃにされ、見るも無残な姿で回収されたのだ。
去年の夏休み、小学校2年生の姫がわが家に泊まりに来た時に「ハイッ、じいじ、お守り!」と言って手渡してくれた大切なものなのである。
ここはもう、オヨヨ オヨヨと悲嘆にくれるばかりである。
わが身が引き起こした不注意が原因とはいえ、とんでもなくも情けないことを引き起こしてしまったものである。
お守りをもらった直後に、妻に頼んで小さな袋を作ってもらい、巾着のように口の部分を紐で絞れるようにし、その紐を長く伸ばして首からぶら下げ、肌身離さずにいたんである。
もちろん寝るときも外したことはなく、外すのは風呂に入る時だけだったのだ。
その風呂に入る時に脱いだ下着のシャツと一緒に洗濯籠に脱ぎ捨ててしまったらしい。
軽いお守りなので、これまでにも時々シャツと一緒に脱げてしまうことがあり、そのたびに気が付いて回収していたのだが、今回ばかりはエアポケットに落ち込んでしまったというしかない。
翌朝、妻は洗濯籠から特段の注意も払わず、ごく当たり前に洗濯籠の中身を洗濯機に放り込んでいったのである。
それにしても気になる。
B・O・K・Eなんじゃなかろうか、ということである。
だってそうなのだ。まず…
①下着と一緒にお守りが首から外れてしまうことは、これまでにも何度かあったことである。でも、その都度気が付いて回収したが今回はその時点で見逃してしまっている。
②風呂から上がったときに当然行う首にお守りをつける動作がないにもかかわらず、それに気づかなかった。
③寝巻に着替える時にも下着を脱いで素肌に寝巻を着るので、いつもお守りの存在にいやでも気づくのであるが、今回は見逃した。
④朝起きるときに寝巻を脱ぐ。その時も素肌の上にお守りがぶら下がっていて、時々、背中の方など、あらぬほうにお守りが回ってしまっていたりして、それを直して洋服を身にまとうのだが、その時にもお守りがないことに気付かなかった。
こう並べてくると、気が付いてもよさそうな節目はいくつもあるわけで、そのいずれにも引っかからなかったという点において、このぼんやり加減さはいったい如何なるものであるか、大いに気になるんである。
ボクの人生の大先輩に「JBK友の会」なる組織を作って会長に収まっている人物がいる。
働き盛りの真っただ中に肺がんを宣告されて壮絶な闘病の末に、声帯を失う代わりに寿命をつないで復活し、さらには前立腺がんにも立ち向かっている闘魂の人である。
「負けてたまるか」という本も出版し、某全国紙の朝刊1面下のコラムにも紹介された。
今も健在で、最近はごく短い文章になってしまったとはいえ、ブログで近況を綴っている元気印である。
このJBKは「丈夫でボケずにコロリンコ」の頭文字をとってつけた名前で、Bは大事なパーツなんである。
ボクは正会員ではないが、賛助会員としてJBKの趣旨に勝手に賛同しているのだが、肝心のBが揺らぐようでは賛助会員に収まってもいられなくなってしまう。
ここは心していこうと思っている。Bが欠けてしまうなんて、クワバラクワバラである。
お守りがぐちゃぐちゃになってしまったことを姫に伝えたら、心優しい姫はまた作ってくれたのだ。
春休みなので昨日から泊まりに来ていて、持ってきてくれたんである。「ハイッ、じいじ!」と手渡してくれたんである。
Bを防ぎつつ、今度こそ大切にしなくっちゃ。
「ボケ」の花も春先に目立つ花である。この実を焼酎に漬けるとおいしいボケ酒が出来上がる
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