わが家の東側の窓から、崖のような山腹をキャンバスに見立てたかのように、赤やピンクの絵の具を置いたような光景が際立つようになってきた。
近所の寺の本堂裏手に広がる光景で、山の急斜面を利用してまるで日本画の絵師が描いた屏風を立てたような見事なもで、手前にはスイレンの咲く池が広がっていて、思わず「へぇ~」「ほぉ~」とため息が漏れるほどの美しさと言ってよい。
江戸初期に創建された日蓮宗の寺で、しかも、観光コースから外れていることもあって鎌倉観光では話題にも上らないが、知る人ぞ知る花どころで、ツツジが咲き誇り、この光景が出現する今頃の時期から大型連休にかけては、普段人気のない境内にも見物客の姿がチラホラ散見されるようになる。
わが家からは絶好の借景の一つでもあり、且つブログ写真でも時々花の写真を撮らせてもらってお世話になっていることもあり、100円ナリの拝観料をお布施代わりに払ってくるかという気になった。
ここの住職は勤行以外の時間は庭仕事にかかりきりになっているのではないかと思えるほどで、作業着姿で斜面にへばりついている姿をしばしば目撃する。
修行の一環のつもりなのだろうが、庭いじりが嫌いでは勤まりっこないし、雑草一つ生えていないような境内を見るにつけ、大したものだと感心している。
まっ、禅宗の寺の庭があたかも自然のありのままを作り出そうとしているのに対して、ここの庭は伝統的な日本庭園の趣で、手入れを行き届かせているところが分かるような、整った庭園と言えるが、それはそれ、何事にも流派があるように、ここの庭はそうした流派の庭なのである。
そういう意味では、この寺は鎌倉の名刹の一つに加えてもいいんじゃないか…と思っているくらいだ。
しかも観光客の喧騒とは無縁の、人知れず…というところが奥ゆかしくてイイ。
山の斜面というより、むしろ崖!
手前の池は初夏から夏にかけてスイレンの花で埋め尽くされる
崖のような場所に植えられているツツジなどの手入れは命がけだろうと思う
わが家からは、たまに、命綱に身を託して崖に取りついてせん定などの作業をしている住職の姿を目にする
散策路を登ってみるが、傾斜は相当なものだ
重たい肥料袋を上まで持ち上げ、いちいち株元に施さなければ奇麗な花は咲かない
上まで上がると目がくらむ思い
ここから転落して打ちどころが悪ければ…
つt時の根元にはエビネ
この花は一時期、相当なブームとなり"エビネ狂騒曲"となって鳴り響いた
ふと…教悦な色合いが目の端に停まる
緋色のボケ 強く目に焼き付いた