朝ご飯が終わるころになると青空はわが家の上にも広がり始め、久しぶりの強烈な太陽の光が届き始めた。
天気は西から動いてくるのが常識で、その伝でいけば西の空にはびっしりと雲が重なり合っているのが気になるが、何せ久しぶりの夏空である。
自転車を引っ張り出して海沿いを走ってきた。
自転車に乗るのは11日以来だから、実に16日ぶり!
稲村ケ崎付近で転倒し、身体が空中を飛んだおかげで膝小僧をすりむいて以来である。
骨も折らず、かすり傷で済んだのは幸運だったが、膝の傷もだいぶ小さくなってきた。わずかにかさぶたが残るのみである。
ルンルンと走り始めたのは良いが、海岸に出る辺りから太陽が雲間に出たり入ったりし始める。
しばらくすると西の空にあった雲が広がってきて、太陽を飲み込むまでになってしまった。
やはり、最初の危惧どおり、西の空の雲行きはこういう事態を示唆していたのである。
曇ってしまったとはいえ、前日までの北の冷涼な空気とは違って、暖かい空気に入れ替わっている。まぁ、それだけでも気分は良い。何せまだ8月なのだ。
そう気を取り直して2時間余り、茅ヶ崎漁港まで行って引き返してきた。
往復34キロ。ささやかな輪行である。
28日から学校が始まる姫にテレビ電話したら、「学校行くの嫌だ~」と渋面である。
統計によると、9月1日に小学生や中学生の自殺が突出して多いんだそうだ。
新学期のスタートの日、長い夏休みが明けて、さぁ学校!と勇んで通い始める子に隠れて、子ども心に死ぬ気を起させるほどつらい思いをさせているものが何か、一概には理解できかねるが、そんな新聞記事を読んでいたので、姫の言葉にドキリとした。
1年生は宿題も少ないし、家ではのんびりして、近所の子どもたちと遊びまわっていたらしいし、鎌倉にも遊びにやってきた。
朝寝坊もできたし、楽しくて仕方なかったのが、突如、規則正しい生活に戻されるのだから憂鬱になるのも無理はない。
しかも、10月に出産を控えている母親が仕事を休むので、授業の終わった後に通っていた学童保育にも自動的に通えなくなる。
ここでいろいろな遊びを覚えてきて、学校の授業より楽しかったらしいから、姫にとっては嫌なことばかりが重なるスタート日なのである。
英語もまったくしゃべれないのに、日本語のまったく通じないアメリカの幼稚園に放り込まれても、その日から溶け込んでしまうような、環境への適応能力に優れた所のある姫である。
それほど心配はしていないが、ちょっぴり気を配る必要があるかもしれない。
鎌倉のプールで特訓した蹴伸びのテストはどうだったのか。5メートルまで進めれば合格のはずである。
姫は「う~ん、だめだったよ~」と身をよじらせて悔しがったが、見学していた母親によれば、5メートルの往復をさせられるのだが、最初の1本目はスーッと5メートル行ったんだそうである。しかし、復路に壁を蹴り損ねたと見えて、途中で止まってしまったそうだ。
姫も「ちょっとちゃんと蹴れなかった~」と言っていた。
でも、じいじと練習している時は5メートルまでは届かなかったんだから、随分進歩したものである。
がっかりすることはない。来年の夏までにはクロールがすっかり身についていることだろう。

普通は梅雨明け前から咲き始めるのだが、春先に強めのせん定をしてしまったので、今頃になってようやく咲き始めたブーゲンビリア