平方録

春を迎える

この時期にピッタリの漢詩がある。


迎春  清・袁枚

迎春莫怪春難見  春を迎えて 春の見難きを怪しむることなかれ
好処従来過後知  好きところ 従来 過ぎて後に知る
隔歳梅花報芳信  歳をへだてて 梅花 芳信を報じ
倚門楊柳望帰期  門によりて 楊柳 帰る期を望む
無辺暖漏声声促  無辺の暖漏 声声に促し
有脚青旗歩歩移  有脚の青旗 歩歩に移る
料得東皇非長吏  はかり得たり 東皇はにあらざるを
不応嫌我出郊遅  まさに 我が郊を出ずるの遅きを嫌うべからず

新年を迎えたが 春がどこに来たかと怪しむことはない
良い時期は 過ぎ去ってから気付くもの
年を越えて 梅の花は咲いた頼りを知らせ 
門に寄りかかり ヤナギは帰る人を待ち望む
無限に時を刻む漏刻は 音とともに時間をせかし
春帝の目印である青い旗が 一歩ずつ進んでくる
ようやく分かった 春の神はお役人さまではない
わが郊外を出るのが遅いからと言って疎んじてはいけない 

春を待ちわびているのだが、そう簡単にはやって来てくれない。そういう季節の歩みの微妙な機微を詠んだ詩である。
しかし、春は一歩一歩、着実に近づいてくる。
わが家の庭では、去年師走に鉢植えから地面に下ろしたバラの苗に新芽が吹きかけてきているのを見つけたのも、その印。
霜に当たって傷まないよう、不織布を巻いておいたが、こうした作業は楽しいものである。

昨日、姫が妹君と一緒に両親に連れられてやってきた。
飛び跳ねるように動き回り、大きな声をだし、相変わらず元気いっぱいである。
車で送ってきた亭主は用事があるからと言ってさっさと実家へ戻って行き、夕方には近所に住む長女と若君もやってきて、こちらも亭主は仕事だそうで、昔のわが家に戻ったうえに、孫が3人加わって、華やいだ夕餉になった。

7歳になったばかりの小1の姫は生後2カ月過ぎたばかりの妹君を抱き抱えてあやしたり、10か月のまだハイハイまでしかできない若君を抱き抱えて頬ずりしたりして可愛がっている姿を見ると、ついこの前まで自分がされていたことを、いかにもお姉さんぶってやっているところがおかしいし、女の子というのは、かくも母性に溢れているものかと感心してしまう。

生まれた直後から姉君にちょっかいを出し続けられて育つ妹君は、少々のことには煩わされず、気にもしない、おそらく随分と図太く育っていくことだろう。
目が大きくてぱっちりと見開いていて、美人顔ではないかと思っている。
目が合うと、こちらの顔をマジマジと見つめるのだが、その眼に宿るものは「初めて見る顔だな~。誰よこの人」という怪訝そうな光である。

若君は時々むずかるものの、大暴れすることもなく、いつもニコニコしていて大人しい。
未熟児で生まれてきて、いまだに同年齢の子と比べると小さいらしいが、かのスーパースター長嶋茂雄も小学生までは「ちびちゃん、ちびちゃん」と呼ばれていたくらい小さかったそうだから、まずスーパースターへの条件を少なくとも一つ備えているというところが、頼もしいではないか。


立や年既に白髪のみどり子ぞ  吉川五明

(還暦の年の作で、数え年61で再び赤ん坊に還るときは、もう白髪の生えた赤ちゃんさ、という句である)

もうひとつ。

寄る計(ばかり)引く事のない年の浪  武玉川

(「寄る」は年寄りの「寄る」で、波なら寄せては返すが、寄る年波には寄せる波ばかりで、返す波がないのである)

2句ともわが身を代弁してくれていて、妙である。



わが家のベランダで夏前から咲きつづけているサルビアとキンレンカ。霜に当てさえしなければ、この先も咲きつづけてくれるだろうか。
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