オマエ ハ イッタイ ドコ ノ クサムラ ヲ サツエイ シテキテ エツ ニ イッテ イルノカ…
そう言われても返す言葉がないような写真を並べたが、これは北鎌倉の臨済宗円覚寺派の東慶寺境内の現在の庭園風景である。
キンミズヒキが地べたを覆い、名前の分からない淡い水色の花がリズミカルに踊り、ハナトラノオが背筋をピンと張って風に揺れ、白いジンジャーの衣が目を引く。
写真には撮らなかったが、通路と庭を隔てる低いロープにはたくさんの実を付けたノブドウなどが絡まり、これから青や紫に色づいていくの目にすることになる。
ここの広い庭はどの季節に行っても、その季節に合った草花が(もちろん自然にと言うより意図して種がまかれたり、計算して植えられたのだと思う)、如何にも自然のままの草むらを持ち込んだような雰囲気を醸し出していて独特である。
そういう作為を出さないように工夫された庭であるから、咲いている花も園芸種と言うより、野の花が多いし、それがまた似合う庭にもなっている。
つまり、どこにでもあるような自然なままの草むらを庭にしてしまった庭……なのである。
ただし、そこがこの庭の最大の特徴なのかも知れないが、いわゆる雑草の類はほとんど見かけない。
そのこだわり、手入れの徹底ぶりをうかがわせているところが、やはり禅寺の禅寺たる所以なのだろうと思う。
いや、東慶寺の東慶寺たる所以…と言った方が相応しいかもしれない。
キンミズヒキが重なり合って咲いている
アザミでもキクの仲間とも違うような…
こちらはハナトラノオ
ジンジャー
さて、これは …?
ゲンノショウコの仲間 ? 花の中に虫がいた
封建時代、夫と別れたい女性がこの寺の門をくぐると離縁できた唯一の場所 それが‶駆け込み寺〟‶縁切寺〟と呼ばれた東慶寺
明治に至るまでの600年間もこの女人救済の縁切りの寺法は守られた
山門から本堂へ向かう参道
かつての尼寺にふさわしく、小ぢんまりしつつ優しく美しい姿の本堂
本堂は自由に参拝でき、釈迦如来坐像を拝める
この寺には他に重要文化財の聖観音立像や水月観音坐像などがある
この寺は去年から拝観料(300円)を取らなくなって自由に入れるようになったが、その代わり本堂を参拝する際には「お納めください」と張り紙がしてある
山門の茅葺がだいぶくたびれてきているようだが…