高架線路の上を走っているから有楽町辺りでは皇居越しに見えてもよさそうなものだが、林立するビル群に視界を遮られてしまっている。
品川を出るとスカイラインは低くなるが、やはり見えそうで見えない。
都県境の多摩川の鉄橋を渡る時に期待が膨らむが、来し方見たことがない。鶴見付近の高台が邪魔しているらしい。
有楽町辺りから見えないのも、おそらく少し高くなっている永田町のせいかと思われるが、あそこはいつだって我々庶民の邪魔ばかりしているのだ。
東北新幹線に乗れば大宮を過ぎた辺りからでも、上り電車なら右側にちゃんと見えるし、横須賀線で東京駅を過ぎて総武快速線に入り、千葉県側に入っても東京湾越しの富士山を見ることが出来る。
したがって富士山により近いところを走る東海道線から見えないわけがない。
どこまで下れば見えるのだろうか。
正解は保土ヶ谷駅を出て右に大きくカーブした後、権太坂付近で大きく左カーブするまでの直線区間、というのがそれである。
ここで注意しておきたいことは、最初に目に入る富士山なのに右車窓ではなく左側の車窓ということである。正確に言うと左前方と言うことになる。
だから大概の人は気づかないで通り過ぎて行く。右側ばかり見ていて、まだ見えない、まだ見えないと首を長くしているのでこのころになると車内はキリンばかりになる。そんなわけないか。
見やすいのは朝や夕方の視界が良い時間帯である。夕方はシルエットに見えるからチャンスはさらに膨らむ。
常識にとらわれていてはダメですよと言うことだが、藤沢駅を過ぎるともう常識通りにちょくちょく見えてくる。
1塁に出てリーリーリーリ―とやっていると牽制球が飛んでくるように、リーリーとやっているとセオリーどおりに右車窓に富士山が飛び込んでくる。そんなの面倒くさいと思う人がリーリーとやらなくても見えてくる。それくらいよく見えるようになる。
それもアレッとびっくりするくらいに大きく見えてくる。
酒匂川を渡って小田原駅に進入する直前辺りでは箱根外輪山越しに覆いかぶさるような大きな姿である。
実はもう一か所、ボクは「左車窓の富士山」を知っているのだ。
それは新幹線の車窓から見える左富士である。
西に下る場合、静岡駅を過ぎてすぐ左にカーブするところがあるのだが、そこでやや斜め後方に視線を投げると見えるはずである。
最初に発見したのはトイレに立った後、左側のドア越しにチラッと見えてエッ! と思い、思わず見直したことがあったのだ。、
あの時は思わず地図を頭に思い浮かべ、電車の進行方向と富士山の位置関係を確かめたものだ。
運転手や車掌なら「真正面の富士」とか「真後ろの富士」なんてのも知っているかもしれない。安全運転で頼みますよ、くれぐれも。
ところで今、富士山の見え方が少し変ではないか?
雪が真っ白に見えていないのだ。
富士の雪化粧は白く輝いて見えるものだとばかり思ってきたが、どこか陰っているような…陰影付きの姿をしているんである。単に光線の関係だけなのだろうか。
米朝開戦なんて話も冗談とも言い切れなくなりつつあるようだし、富士山も表情を曇らせているってわけだろうか。
人には英知ってもんが備わっているはずだが、裏切るのもいつだって英知を持っているはずの人間社会なのだから…
12.14 12:55撮影 これはいつも見えている富士山とは違った見え方の富士山である
12.14 12:38撮影 2枚の写真とも白い雪が灰色がかって見え、しかも陰影が目立つ
11.21 11:08撮影 雪が真っ白に輝いて見えるいつもどおりの姿。左側の白が飛んでいる部分は宝永火口の窪みがこう見えるのだろう
11.25 11:59撮影 地上の景観越しに見ても雪は白く輝いて見える。ちなみに4枚とも太陽は画面左側から差し込んでいる
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事