今わの際に何が食べたいか…、何を食べるか…
こんな問いにボクは答えを持っている。
それが秋に朱色の実を実らせる柿。
それも柿なら何でもいいというわけではなく、山形の友人宅の柿の木になる実をもって「それ」と定めている。
名もない柿だが、しかも大きくもなく、かといって小さいわけでもない。
つまり手ごろなサイズの、どこにでもありそうな柿だが、味がこの上なくいい。
誤解のないように言うと、友人宅の柿は渋柿である。
だから、枝からもぎ取ってそのままガブリというわけにはいかないのだが、友人の奥方が渋抜きしてくれたものが実に上品かつ美味に変身するのである。
友人宅の周囲で栽培が盛んなサクランボは一粒ウン万円という超高値の付くものもあるそうだが、この柿の価値が広く知られるようなことになれば、銀座や日本橋の千疋屋の店先で桐の箱にでも入ってサクランボ同様かそれ以上の値が付くこと請け合いである。
幸いなことにこの味を知る人間は限られているため、ボクは毎年送ってもらえている。
余談だが、この柿を干し柿にしたものがまた抜群で、京都辺りの老舗菓子舗が作る名の知れた和菓子なども「ははぁ、参りました」とひれ伏すくらいの逸品に変身する。
前置きがずいぶん長くなったが、この柿を今わの際に食べようというのがボクの魂胆であって、生のまま冷凍して何個かを保存している。
柿は毎年なるものなので、秋になると新たな供給を友人がしてくれるので、"今わの際の練習"ではないが「1年間、つつがなく生き延びたことを寿ぐ」意味も込めて誕生日の夕食の後のデザートとしていただいている。
昨日がまさにその"儀式"の日で、76回目の馬齢を加えることができた。
この柿はひょっとして長寿の効能もあるのではないか…
今年も友人宅の柿の木はたくさんの実をつけているそうである♪
山の神が用意してくれたメーンディッシュは大和豚のソテーだった
左はタマネギのスライスを中心とした野菜サラダ 上は紅白に緑をあしらったモツァレラチーズとトマト、バシル…など
これが今わの際用の柿 ヘタをとったところにウイスキーを垂らして食すとこれが絶品のオトナの味になる
完全に解凍され、やや液状化してしまっているのでスプーンですくって食べるほうが食べやすい
今年何度目の花か忘れたが「空蝉」がこの日を寿ぐように満開になってくれた♪
「ノリコ」もまた艶然と♪
暑い夏に灼熱の炎が…