去年は2月18日だった。
その前の年がいつだったか記録を残していないが、2月6日だか7日に聞いた覚えがある。
2006年のことで、東京湾に浮かぶゴミの島にあるゴルフ場に出かけようとして玄関を出たところで耳にし、「こいつは幸先がよさそうだ。良いスコアが出そうだ」と思ったものだ。
それで覚えている。
ウグイスの初鳴きのことである。
「初音」のことだ。
「初音」だけで通用するのはウグイスとホトトギスくらいか。
今年は寒い日々が続いているからウグイスだってまだその気にはなれないような気がするが、ウグイスの好む茂みや尾根道を歩く場合は聞き耳を立てながら行くことになり、楽しみがひとつ増える。
すでに「チチチチ」という地鳴きは始まっているのだろうが、何と言っても「ホォ~ホケキョォ~」の美しいさえずりを早く耳にしたいものだ。
春は名のみ…っていうじゃないかって?
ナニ、あのウグイスは谷のウグイスだからさ。
ボクが待っているのは街場のウグイスでヒートアイランドにそんな心配はないのさ。
去年の暮れに冬至を迎えた時、あぁこれでまた日が長くなり始める! 一歩一歩が春に近づいていく! と「一陽来復」を嬉しく思ったものだ。
その一歩一歩を積み重ねてたどり着いたのが、まさに今日の「立春」なのである。
「春」という文字が日常のものになる。
もちろん文字だけではない。
早まる日の出、伸びる日脚、明るさを増す日の光り、時折吹く南の風、霞む空気、道端にこぼれるオオイヌノフグリの真っ青な青色…、落ちてくる雨にも冬のとげとげしさは消えている。
厳寒の2月とも言うけれど…
山形の友人に電話してどこかに春の兆しは感じないかと尋ねると、きっぱりとした声で「まだない」と。
どんなに小さな変化でもいいから何かないかと期待したのだが、こういうのを巷ではゼロ回答という。
山形市内にもまだ30cmの積雪があり、実家のある東根市の屋敷には60cmもの積雪が残ったままだというから無理もないのかもしれない。
月山の白きたおやかな峰が冬の日差しに輝いて、それはそれはうっとりするような美しい光景だという。
「あれだけ積もっていれば今年は水不足の心配はまったくないだろう」とも。
しっかりした厳冬は暑い夏にも恩恵を残しておいてくれるって寸法か。
今冬の南関東は12月からすぐ寒くなり、しっかりと寒い日々が続いた。寒いのはもう飽きた。
(見出し写真は湘南・片瀬の常立寺のしだれウメ 鎌倉時代、蒙古帝国王フビライは日本に降伏を求め、4人の使者を送りつけてきた 時の執権・北条時宗はこれを無視して4人を腰越・竜の口の刑場で斬首させ、近くの常立寺に葬り、今もその塚が残されていて、大相撲の白鵬らモンゴル力士が墓参に訪れるという)