先ずは見出し写真の雄姿を見て欲しい。
まだ〝半人前〟ながら、ボクの方をキッとにらみ、寄らば切るぞ ! みたいな気迫をみなぎらせる凛々しさ。
人間でいえば尻に蒙古斑の青あざを残しながら、オシメをしたままの姿で刀の柄に手をかけているというぐらいの感じだろうか。
それにしても、このファイティングポーズの何と一丁前であることか。
そしてそこはかとない気品さえ感じると言ったらほめ過ぎだろうか。
先日、パソコンに向かっていると右腕の前腕の辺りにかすかな違和感を感じて、さては蚊でも止まって血を吸おうとしているな、おのれ叩き潰してくれん ! と違和感を感じた辺りを注意深く見たら、どうも蚊より一回りも二回りも大きい、といったってたかが知れているのだが、まじまじと見るとそれがオシメをしたカマキリの赤ちゃんだったというわけなのだ。
どこでどうやってボクの身体に乗り移ったのか…
パソコンに向かう直前にベランダに出てミニトマトなどの様子を見ていたので、多分その時だろうと推察したが、今年もまたカマキリの季節になった。
毎年、なぜか2階のベランダにはカマキリが現れ、ゴーヤのカーテンを棲み処にしてひと夏を過ごすのが定番になっている。
それも決まって秋になると2匹以上は見かけないから、想像するにつがいなのだろう。
他の個体はきっと駆逐されたのではなくて退治され食べられてしまったのだと思う。
縄張りというのは極めて重要なのだ。
まっ、それが彼らの掟なのだろうからとやかく言うことではない。
その蒙古斑付き幼年カマキリはボクの前腕を悪戦苦闘しながら手の甲に向けて進軍を開始した。
悪戦苦闘の原因は腕を覆う密林地帯である。
若いころと比べると1本1本の太さが細り、しかも密度も薄くなったとはいえ、もじゃもじゃと生い茂る様子は変わっていないので、さしもの長い足を持つカマキリもえっちらおっちら進む姿は勇者の面影は消えてユーモラスでさえある。
6本足でも大変なのだから、これ以上多くの足を持つ連中はさぞや往生するだろうなぁ
しばらくその苦闘の前進を眺めていたが、部屋の中で追い払っては後が気の毒だと思い、今後の害虫退治の大役に免じてベランダに戻すべく、パンジーのプランターのところで腕を花に近づけると躊躇なく飛び移った。
そして振り返ったところが見出し写真の姿である。
たぶん、ゴーヤやトマトなどベランダの植物に付く害虫があれば「拙者にお任せ下され ! 」とでも言っているようではないか。
ふむ、実に頼もしい。
なんとも折りの目正しいことよ。にじみ出る気品の故か。
では、よろしくお願い申す、バロン・カマキリ殿 !
ふぅ~ やれやれ とんでもない所に入りこんじまったぞ
じろじろ見るなっ 見世物じゃないやい 苦闘中なんだからなっ