午前零時過ぎと言うのは白河夜船の真っただ中なのだが、極たまに目を覚ますことがある。
その‶極たま〟が昨日現れて、目を開けると寝室西側の3連の細い縦長の窓から昼間のように明るい光が差し込んでいる。
ああ、十五夜の前の晩だものな、とすぐに理解して窓の外を覗き込むと、ほとんど真円の月が南寄りの空にこうこうと光っている。
隣のベッドを見ると、数分前にベッドに入ったはずの山の神が軽い寝息を立てて眠る顔に、スポットライトのように月の光が差して顔だけを浮かび上がらせている。
その情景を眺めながら、もう半世紀近くもの時間が流れたんだものな…と、改めて感慨を催す。
と言ってもそれはほとんど一瞬のことで、しみじみと来し方を振り返るようなものではない。
そもそも眠いのだから…
そして、トイレから戻ってベッドにもぐりこみ、山の神のようにボクも昼間のように明るい月光が差す位置に頭を置いて目を閉じる…
前日に尋ねた黄金の波の稲穂の海越しの光景とはがらりとは趣を変えた「いつもの」青い海と空の中に浮かぶ富士山 ♪
青 青 青 青 青 青 青……一色の世界
何物をも包み隠さぬ潔さ (以上、江ノ島・弁天橋から)
さすがに、真夏に広がる青一色の世界の力強さには及ばないけれど…
向かって左に箱根連山、右手に丹沢山塊を従えた大パノラマには一点の陰りもない (以上、湘南海岸・片瀬西浜から)