突如、低い天井が出来てしまったように頭上を分厚い雲でふさがれてしまい、一筋の光さえ漏れてこない。
9月のカレンダーがめくれた途端からの事で、天気予報欄に並んでいるのは雲と傘のマークばかり。
もう今日で5日目になる。
そして今朝も日の出前の暗い空からシトシトとほとんど音もなく雨が落ちてきている。
猛暑とその盛夏に突如現れた2度目の梅雨もうまくかいくぐって、今年も真夏の種蒔きを実行して首尾よくパンジーを発芽させたのだが…
蒔いたパンジーのタネは3種類。
2つのピートバンに出そろった芽はどの種類も発芽率60%強程度なので例年と同レベルか若干悪い程度だと思う。
ということで、まぁ予定通りなのだが、心配のタネがひとつ。
突如現れて頭上をふさいでしまった天井のことだ。
最初の発芽から1週間余りは真夏の強烈な直射日光が直接当たらないよう、ゴーヤカーテンの影になる場所に置いて見守ってきた。
ニンゲンの赤ちゃんだって生まれたばかりに強烈な太陽の光を当ててはいけないのと同じこと。
若葉は守られなければならない。
しかし、ある程度育ってくると、ニンゲンは太陽の光を浴びないとクル病にかかってしまう。
植物においておやで、これだけ太陽の光が届かない状態が続くことは南関東では想定外のことで、光合成を命の源とする植物にとっては実に好ましからざる事態なのだ。
こんな状態がまだ続くようなら、いよいよピンチだ。
太陽の光を浴びることが出来ない芽は、ただいたずらに徒長を始め、ヒョロヒョロと力なく伸びるばかりで苗としてほとんど使い物にならなくなってしまう。
仮に失敗してしまったとしてもう一度蒔き直そうとしてもタネが手に入るかどうか。
種苗会社に直接注文して取り寄せた珍しい品種なだけに、まだ残っているかどうかはなはだ怪しい。
そうなれば来春のわが庭は寂しいことになってしまうではないか。
かくなる上は1時間でもいいから太陽の光が漏れてこないかと、今は祈るような気持ちでいるのだ。
しばらく前に秋ナスを手に入れようと、成りかけの実を犠牲にしても思い切ったせん定を施したのだが、うまく新しい枝葉が伸びてくれ、伸びた枝先にいくつも花を咲かせている。
そのうちのいくつかは既に結実して、見惚れるような、輝くようなナス紺のピッチピチの衣装をまとって育ちつつあるのだが、なかなか大きくならない。
ここのところ最低気温が連日20度を下回り、極めつけは陽が射さないものだから光合成が出来ないのが致命傷になっているのでは、と気をもんでいる。
プランターで芽を出したコマツナやミックスレタスの育ち具合だって、緑が薄くなってきてしまったようにも感じられて、オロオロさせられるばかりである。
しかし、この先も相変わらず天気予報欄に並んでいるのは雲と傘マークばかりなのだ。
どこまで続くぬかるみぞ…