写真を中心に「どうよ、こんなところ知ってる?」と自慢げに紹介する鎌倉本がある。
今からおよそ四半世紀ほど前に発行された「ないしょにしておきたい鎌倉」(写真・文 原田寛 講談社カルチャーブックス)。
よく知られた寺院などはほとんど無視されていて、ページをめくると「へぇ~」「ほぉ~」という感嘆符とともに、そんなところがあったんだ…と興味をそそられる。
実はこの本に教えてもらった穴場もいくつかあるが、ボクの知る秘密の場所が「ないしょにされたまま」なのを知って密かに喜びもした。
ときどきパラパラとページをめくり直しては「あぁ、ちょうど今頃の季節だな」とか「今どうなっているだろう」と腰を浮かせる動機にもなっている。
目次の中から「境内を彩る鎌倉一美しい梅林」という項目を見つけた。
「あぁ、あそこね」と思い出しつつ……行くなら、今でしょっ!
「鎌倉の撮影を始めてから長い年月が過ぎ去った。年々行動範囲を広げ、撮影地の数もしだいに増えて行った。その中で本当はないしょにしておきたいけれど、一人占めしてしまうのももったいないという花名所がいくつかある。その筆頭が貞宗寺(ていそうじ)ある」(本文から)
写真は本堂へと続く参道
「梅の名所と言えば有名なのが瑞泉寺、梅林の規模の大きさで言えば十二所の果樹園だろう。冬の陽だまりに咲く英勝寺の梅一枝の風情も捨てがたい。それぞれの梅にそれぞれの魅力がある。しかし貞宗寺の梅も決してそれらに負けない魅力を持っている」(本文から)
鎌倉市内に間違いないが、寺が集中する旧鎌倉市内から外れたJRで言えば大船駅が最寄駅でいささか不便な場所にある
大船フラワーセンター裏手の商業施設の駐車場からだと歩いて3、4分のところにあり、突如出現して驚かされる
今、まさに紅梅と白梅が混然と咲き誇る
確かに瑞泉寺や東慶寺のウメもそれなりに見応えはあるのだろうが、ここの霞をたなびかせたような光景はなかなかお目にかかれない
紅梅の巨樹も見事に満開になっている
浄土宗のお寺で、ここが本堂
何てったって鎌倉一! 青空とのコラボが特にキレイ♪
こういう場所なら「フクイクとした」という表現を使ってもウソにはならないだろう
もう一度紅梅の巨木を
本堂の左手にはムラサキハナナやミツマタの花が開き始めている
ムラサキハナナ
ミツマタ
ミツマタの頭上にはモクレンが…
つぼみがだいぶ膨らんできている