句集をぺらぺらめくっていたら、思わず「おぉっ!」と声を挙げたくなるような「名句」に出会った。
月明のいずくか悪事をなしをらむ 岸風三楼
月明りと言えばたいていの人はある種の懐かしさを含む暖かさや、澄み切った清らかさをくみとるのに…
春のおぼろ月、秋の清らかな光…
しかるに風三楼は黒々とした人間の行為を連想し、対比させるとは…
それがかえって現実味を与えているところが、なにやら見てはいけないものを見てしまったようなドギマギ感や、知らなくてもいい証拠をつかんでしまったような、一種バツが悪いような落ち着かない気持ちを浮き彫りにするようで、秀逸だと思う。
先夜のスーパーブルームーンの下でも永田町の住人辺りはどこぞの料亭などでヒソヒソ話をしていたに違いない。
片瀬西浜に残ったわずかな松林越しに…