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平方録

芋に開けた穴

昨夜寝る前にベランダに出て見ると真ん丸の月がこうこうと輝いていた。
仲秋の名月ってやつで、今月は31日にもう一度見られるそうだ。

奇麗な月を見ると決まって条件反射のように頭に浮かぶ詩が二つある。
李白の「静夜思」がその一つ。
牀前看月光 疑是地上霜 挙頭望山月 低頭思故郷
(ショウゼン ゲッコウヲミル ウタガウラクハコレ チジョウノシモカト
コウベヲアゲテ サンゲツヲノゾミ コウベヲタレテ コキョウヲオモウ)
夜中に目が覚めてトイレに立った時、ボクのベッドに射しかけている月明かりを見て、まさにこの詩が浮かぶ。
まだ霜が降りるような寒さはないが、あの青白い独特の研ぎ澄まされたような光はハッとさせられるほど美しい。

トイレから戻り、ベッドの上に当たっている月あかりの位置に枕を動かして、顔に月あかりを浴びて寝たら一体どんな夢を見るだろうかと思う。
そして4時に起きて見て記憶の襞に残っている夢がないのに少しがっかりする。そんなものかね。

もう一つはこちら。
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月
8個も月が並んでいる。
ネットで調べてみると作者や出典を問い合わせる国会図書館への質問に対して地方の図書館が代わって答えているページがあって、それによると出典は鈴木忠候という人が書いた『小窓閑話』にこの歌が載っているそうだが実際の作者名は分からないという。
そしてこの本には「宦家の女中は、八月十五夜に芋を箸につらぬき、其穴より月を見て、月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月、という歌を吟ぜらるるとなり。或人云、此歌三十一文字の中に、八月十五夜といえる事こもれりとぞ。」と書かれているとか。

オイオイ、箸で芋に開けた穴から覗いた月…って、何だい行儀悪りぃなぁ。
全然風流じゃないじゃないか。呆れたね。
まぁ、風流と世俗なんてものは、案外こんなものかもしれないけどな。
これから名月を見るたびに「箸で開けた穴から覗いた月」なんだってことを思い浮かべることになるんだろう。
やれやれ。

ところで昨夜は午後10時にベッドに入ったから6時間寝た。
最近はいつもこんな具合で6時間睡眠なのだが、朝などは食事のあと新聞を読んでいるといつの間にか新聞が手からずり落ちてしまったり…
眠くてたまらないのだ。

春先に眠くなるのは分かるんだが、秋だしなぁと思ったら一つ思い出したことがある。
睡眠負債ってやつだ。
そもそもヒトの体は最低7時間寝る必要があるようにできていて、それ以下だと不足分がたまっていくんだそうな。
寝不足が積もり積もると挙句の果てに体に変調を及ぼして具合を悪くさせたりもするそうで、決して甘く見てはいけない、という指摘なのだ。
で、実際の借金と同じで、この不足分は後払いが可能だそうで「短時間でもいいから昼寝しろ、さすれば負債は返済されていくであろう」という考え方なのだ。

だから実際の借金と同じようにきちんと返済しないと怖いお兄さんたちからヤキをいらられたりして酷い目に遭わされる代わりに、重い病に倒れかねないとまで脅している。
それほど睡眠不足からくる負債は深刻なのだそうだ。クワバラクワバラ。
そんなわけで昨日、久しぶりに昼寝をしましたよ。
それも午後2時15分から5時半過ぎまで !
加えて昨夜は6時間の睡眠。足すと9時間超 !
いやぁ~ こんなに寝たのは久しぶりって言うか、近年では記憶にないくらい。

よしっ、今日は休養十分だ。天気も良し  ♪

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