前日は定番の湘南海岸のパトロールに出かけたところ、珍しく白波の立つ荒々しい相模の海に出くわし「ほぉ~! 」と感嘆符と共に見物してきたのだが、2日続きでは能がない。
で、好天につられて昨日は内陸に足を向け、田園地帯をさすらってきた。
視界が効けば遠くには富士山が浮かび、そのわきで丹沢山塊が屏風のごとく連なる景色もまた懐かしさを誘うところである。
過ぎし真夏の炎天下にもこの辺りは2、3度訪れて広々とした水田の上を渡って来る青々とした空気を胸いっぱいに吸い込んでうっとりしたものだ。
このイネの香りの混じった空気に包まれながら、ゆっくりゆっくり味わうようにペダルを漕いでいると、これまた懐かしい匂いが漂ってくる。
牛だって豚だって食事をすれば当然出るものは出る。
その匂いなのだが、確かにうっとりするような香しさとは縁遠いものがあるとはいえ、鼻がひん曲がって息も出来ないというほどのものでは決してない。
「あぁ~! あの匂いだな」とすぐにピンとくる例の匂いであって、ボクにとっては一種の懐かしさを感じるほどと言ってもよいくらいの匂いでもある。
でも、夏の間はそれほどと思わなかったが、昨日はツゥ~ンと鼻を刺激してきた。
さすがに家々が窓や戸を開け放つ季節には生産者が気を遣って消臭に力を入れていたのかもしれない。それが涼しくなって緩み、匂いがきつく感じられるようになったものか。
その辺りはトンと分からないが、あいつら自分たちの存在を主張して十分ではあった。
とまぁいろいろと懐かしさに包まれていると水田の向こうにぞろぞろ続く人の列が見えた。
? 傘をさしている人もいて、水田の草取りにしては変である。
近づいてみると小出川という小さな流れのほとりに彼岸花が咲いていて、どこまでも続く見渡す限りの土手の上を覆っている。
人の列は彼岸花を見に訪れた見物客の列だったのだ。
小さな橋のたもとに看板が建てられ「この流域の彼岸花は上流の里山などから大水によって球根が流れ込み、古くからこの地域に自生してきたが、2013年ころに流域にヒガンバナ保護団体が相次いで組織され、増殖・保存活動に努めています」というようなことが書いてあった。
花は今月下旬ころが最盛期らしく「上流の大黒橋から下流の追出橋までの両岸3キロが『紅の帯』に染まります」とも書かれていた。
「小出川彼岸花まつり」の最中なんだとか。ここまで来る途中に「臨時駐車場」と書かれた看板を幾つか見かけたのはそのためだったのだ。
青い空に白い雲がぽっかり浮かび、黄金色に色づいて首を垂れる稲穂の脇に続く「紅の帯」は懐かしさとともに、なかなかの光景ではあった。
曼珠沙華抱くほどとれど母恋し 中村汀女
小出川の土手3キロにわたって「くれないの帯」が現れる
まだツボミがたくさん。最盛期は今月下旬だとか
ヒガンバナの脇でツルボも
近くの水田の一角で見つけたイネ科の植物。野菜のスタンドに摘んできたばかりの野菜を運び入れていた農家のおばちゃんに聞くと
黒米か黒米のもち米だろうという。「田んぼアートって言うので田んぼに絵を描く時などにもにも使われるのよ」と言っていた。なるほどね
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heihoroku
ひろ
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