我が家の庭に何種類か植えているバラの内、ブラッシング・アイスバーグとノリコが季節外れの花を盛んに咲かせている。
いずれも9月下旬から11月にかけての秋バラシーズンには全く元気がなく、超大型台風が2度も襲ってきた後には葉っぱも散らしてしまって見る影もなかった。
そんなわけだから、枯れてさえいなければ初夏のバラシーズンには復活してくれるはず、それまで大人しく養生してくれれば御の字…と思っていた。
それが11月の中旬過ぎくらいからバラ特有の照り葉が展張し始め、「オッ、生きてた ! 」と大いに気を良くし、ならば陽光をたっぷり浴びてしっかり光合成をすれば来年は大復活間違いなしと胸をなでおろしたものだ。
ボクとしてはそれで十分で、それ以上は望みようもない気分だったのに、あれよあれよと次から次に「冬のバラ」を咲かせ始めたのだから驚くまいことか。
今となっては盛りの季節を迎えたような咲きっぷりに、「おいおい、調子に乗ってはしゃぎすぎるとくたびれ切って、来年に差し障るよ」と手綱を締めたいくらい。
調子に乗るところは庭の主とウリふたつなのがおかしい。…と言うか、そこまで忠実じゃなくていいんだよ、と苦笑してしまう。
バラを本格的に育て始めてまだ7~8年の経験しかないが、こういう現象は初めての経験で、 原因は天候不順以外の何物でもないと思っている。
9月はいつまでも残暑が収まらず、気候が安定し秋晴れが広がるはずの10月はどんよりした秋雨のそぼ降る日が続いた。
9月と10月に関東の南部を襲った2つの台風は激しく庭の植物を揺さぶったのだからたまらなかったろう。
聞いたことも経験したことも無い猛烈台風の襲来も含めて、「異常気象」という言葉がここまでぴったりくる年はなかったように思う。
地球の温暖化に伴う気象変化はひたひたと押し寄せてきていることを感じないわけにはいかない。
それを繊細な植物の内の、わけても繊細な品種が教えてくれたのだ、と受け止めている。
ヒトは謙虚にこうした声を聞けるかどうかだ。
それがこの地球の将来を左右する。
そして絶望の悲鳴を上げるか、それとも胸をなでおろせるか…
ブラッシング・アイスバーグ
ノリコ
季節外れの花もまだ咲きそうだが、年が明けて松が取れるころにはせん定作業に着手しようと思う。
葉をすべてそぎ落とし、枝を切り詰め、全体の整枝をする。そしてここが肝心なのだが、よく発酵させた牛糞の完熟堆肥と真っ赤なパッケージで売られている「バイオゴールド」という名のバラ専用の肥料を根元にたっぷりすき込んでやる。
そうすることでじっくり養生してもらい、初夏の本格的シーズンに備えてもらうのだ。
寒風吹きすさぶ中でのせん定作業は楽ではないが、盛りの絢爛さを思えばどおってことも無い。むしろ楽しみでさえある。
それまで、この時期外れの花を楽しませてもらおう。