その獅子舞の谷へのアプローチには鎌倉宮方面から川沿いにたどる道と天園ハイキングコースの途中から下り降りていくルートがあって、天園ハイキングコースにもアクセス方法はいくつかある。
最もポピュラーなのが鎌倉宮を経由して瑞泉寺の手前から山道に入るルートと建長寺最奥部の半僧坊からのルートである。
半僧坊経由だと建長寺の拝観料500円を払う必要があるが、境内を見物しながらというのも一つの手だから、たまに天園ハイキングコースを歩こうとやってくる人たちにはあまり抵抗はないかもしれない。
しかし、時々このハイキングコースを歩きたいという人々にとってはハイキングコースを歩く度にいちいち木戸銭を払わなければならない、と言うことになってしまう。
実はボクが暮らしている町は周辺の自治体に比べて福祉政策をはじめとする住民サービスが貧弱なことで知られている。
そんな中で唯一と言ってよいのが65歳を過ぎるともらえる「福寿手帳」で、市内の有料の公共施設の利用料金が無料になったり、社寺の拝観料が無料になる特典が付く。
特に役立つのが社寺の拝観料がタダになることだが、何のことはない、行政にとっては自分の懐をまったく痛めないで他人の善意に寄りかかって得意顔をしているだけの話で、けっして褒められたものではないのだが、そういう底意が透けて見えてきているためか、社寺の中でこの福寿手帳での拝観を拒否するところが増えてきているんである。
北鎌倉の寺では建長寺と明月院の門扉が閉ざされてしまった。
それも今年に入ってから拒否に回ったらしい。
手帳をかざして正門を潜り抜けようとしたら「あっ、それは4月から使えなくなったんですよ」というご託宣にちょっとびっくりした。
もともと参拝客の少ないところなら、たかが知れた数の高齢市民の拝観料とはいえ、貴重なお布施の一部なんだろうから拒否するのも分からないではないが、建長寺なんてところは鎌倉五山の第1位にして鎌倉有数の大伽藍を要するあらゆる意味における一大拠点ではないか。
そこが福寿手帳締め出しとは小せぇ小せぇ。
仕方なく拝観料を払ったんだが、確か300円だったものは「4月から500円になりました」と値上げまでされていたのだ。
台所事情が寂しくなってきているんだろうか。
ちなみに同じ北鎌倉の円覚寺は300円、東慶寺と浄智寺は200円。長谷の大仏も200円、長谷寺が300円である。
ま、京都の社寺には比べるべくもないけれど。
拒否している寺の中には手帳をかざしただけで何か得体のしれないバケモノか何かを忌避するような態度で「ああっ! それ使えませんっ! 」とえらい剣幕で拒絶するところまである。
手帳をかざすこちらが思わず引いてしまうような、悪いことでもしでかそうとして見つかってしまったようなバツの悪さなのだ。
行政との間に何事か遺恨のようなものでもあるんじゃないかとさえ疑いたくなる態度に驚かされる。
ロージンの肩身は狭いんである。ニャロメ!
半僧坊から見た建長寺大伽藍。三門、仏殿、法堂、方丈が一直線に並んでいるのがよく分かる
三門
本尊の地蔵菩薩坐像が安置されている仏殿
法堂(奥)。手前は仏殿
唐門
法堂の天井に描かれた竜図。中国の天子しか許されなかった「五爪」の龍である。小泉淳作画伯の乾坤一擲
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