土曜日なので、今日こそ満杯になるかと思いきや、これまでの2日間と同じで、空席が目立ってた。
おまけに風がだんだん強くなってきて、南側の扉が全部閉められてしまい、開放感も今一つである。
横田南嶺管長の「無門関」提唱。昨日の要点は「こだわりを捨て、ひとのモノサシに惑わされない心を持つこと」「絶え間なく、油断なく心を保って修行する(生きて行く)ことが大切である」ということだったが、今回の第27則もやはり心がテーマ。
「(修行して行く上で、あるいは生きてゆく上で)一番大切なのは『心』なのだが、頭で考え過ぎると本質がおろそかになってしまう。ゆえに『心』とは何であるのかを問う事が必要である」「私たちが生きている世界には言葉で表現できないものがある。心の底からわき起こる、ひたむきな心を忘れるな、ということを言っている」
なるほどね。「心の叫び」っていうようなものですかね。分からなくはない。
2時間目には正直言って呆れた。
登壇したのは歴史エッセイストという肩書の白駒妃登美という女性。
テーマは「志高き日本人の物語」。
横田管長が子供向けの著作を読んで感銘して、是非にと招聘したようだが…
まだ50歳そこそこの人だが、子どもがまだ幼かった頃に子宮けいがんの宣告を受け、さらにそれが肺に転移したことが分かって絶望の淵に沈んだそうだが、奇跡的にがんが消え、今では2日に1回、全国を講演して回っているのだという。
そこはつくづく大したものだと思う。そんな人がいるなんて初めて知った。
期待して耳を傾けたんである。
ところが、がんの話をして本題に入った途端、「自虐史観」という言葉を何度も口にし、学校時代、日本はアジアでどんな悪さをしてきたのか、ということばかり教えられ、歴史が嫌いになってしまったけれど、がんに打ち勝つために、日本人の伝記を読んで励まされ、素晴らしい日本人がいることに気付いたというところから始まったのである。
しかも、世界中で一番古くからある国は日本で、今年は建国から2676年なんです。神話と歴史がつながっている唯一の国なんです、とも。
オイオイ、待ってよ。それって皇国史観じゃん。
伝記を読んで学ぶのはいいが、それがどうして皇国史観と結び付くのだろうか、そこが不明である。
アベなんちゃらたちが信奉する歴史観だぜ。
だから話の中身は、日本人がいかに優れた民族で、世界中を探してもこんな素晴らしい民族はいない、というトーン。
こういう思想が思い上がりを生み、平気でアジアの国々を侵略して、大勢の人々を苦しめる結果を招いたんである。
それが、歴史的事実であって、日本人だけが地球上で輝いているなんて考えは、ナンセンスに尽きるんだよな。
そもそも、地球上の民族に優劣というものが存在するんだろうか。オイラはそうした考えには立たないね。
この白駒さんは年間に30~40回も小学校や中学校でも講演するそうである。
学校の先生たちもよく知らないんじゃないか?
特定の意思を持ったPTA辺りにそそのかされて呼んでいるのかもしれないが、こうした科学的ではない歴史観を学校現場に持ち込むのはいかがなものか。
第一、世界中で一番古い国というけれど、アテネやローマ、エジプトなんてところは紀元前何世紀もさかのぼるんだぜ。中国だって4000年の歴史だという。
そもそもが箱庭的な空想の歴史観なんである、皇国史観ってやつは。
ま、横田管長といえども間違うこともあるだろうからね。
3時間目は女優で舞台朗読家という幸田弘子さんの「美しい日本語と我が朗読人生」。朗読に力を入れてきて、それなりに知られた人だそうだが、この人も意識にはなかった人である。
で、70分の講義時間中50分が樋口一葉の「たけくらべ」の朗読で、20分が娘さんとの対談形式による解説的な話。
もったいないことだが、半分は寝てしまった。
円覚寺大方丈の庭
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